
【インタビュー】THE SUPER FRUIT「メジャーに行くことを祝福してくれるような新曲です」

今夏、ユニバーサルミュージックよりメジャーデビューが決定した7人組ボーイズグループTHE SUPER FRUIT 。グループ名の通りフレッシュな魅力を持った彼らが、4月9日にこれまでのインディーズ時代の楽曲を集めたベストアルバム『BEST FRUIT BOX』をリリースする。このアルバムには2022年のTikTok流行語大賞を受賞したデビューシングル『チグハグ』から、メンバーの鈴木志音が「直球で物事を伝えてくれている曲だと感じた」という新曲『だいぶダイバーシティ』まで、彼らの足跡をたどる全13曲を収録。自己肯定感を上げてくれるようなナンバーがそろい、自然とポジティブになれる作品となっている。今作についてメンバーに聞いたところ、2年目の壁、ライブに対する葛藤など、さまざまな思い出を語ってくれた。
フルファミ(ファン)の存在が原動力
THE SUPER FRUITの皆さんは今年の夏にメジャーデビューが決まったということで、おめでとうございます!
一同:ありがとうございます!
このお知らせを聞いた時、どんな心境でしたか?

小田惟真:まずユニバーサルミュージックでメジャーデビューすることがすごくうれしかったです。他のいろいろなアーティストさんが所属している中で、自分がそこに加われて、これからもっともっといろいろな世界に届けられるグループになれるかなと思うと、すごく楽しみでワクワクします。
堀内結流:グループみんなで一緒にいる時に聞いたんですけれど、まさか自分がメジャーデビューという言葉を聞けると思っていなくて、すごくびっくりしました。「どんなことが起きるんだろう?」とか「どんなことができるんだろう?」とワクワク感もすごくあって。
正直、今もなんですけれど、その時は本当に心の整理がつかなくて、頭の中が真っ白でした。でもうれしくて、みんなで抱き合って「やったね!」と言い合いましたね。「いつかメジャーデビューしようね」という目標があったので、「やっとメジャーデビューを掴めたね」といった喜びがすごくありました。
1番リアクションが大きかったのは誰ですか?
堀内結流:この2人(星野、阿部)ですね。
星野晴海:僕らは崩れ落ちて抱き合っていたので、周りのリアクションがあまり見えていなかったです。自分たちの記憶しかない(笑)。
そんな歓喜の中、改めてインディーズ時代を振り返ると、どんな日々を過ごしてきたと思いますか?

田倉暉久:嬉しかったことと辛かったことが、ちょうどフィフティフィフティだったと思います。もちろんデビューした当初はありがたいことにたくさんの方に知っていただいた半年間だったんですけれど、その後は実力以上の広がり方をしてしまって等身大ではなくなったからこそ、生まれた差に丸ごと苦しんだ1年間で。『チグハグ』(2022年8月リリースのデビューシングル)を経てからグループの方向性もどうするかとか、逆に『チグハグ』に置いていかれないようにどう頑張るかとか。
そういう意味では少し苦しんだ1年だったんですけれど、そこを乗り越えた2023年で、2024年は自分たちなりに軸足が固まって、前だけ見て走って、最終的にTOKYO DOME CITY HALLという大きな会場を満員にすることができて。僕らの目標はアリーナと言っているんですけれど、そこのかかとぐらいは見えたかな?という感じです。そう考えるとちょうどバランスが良く、インディーズの期間としては、すごく理想的な形だったのかなと思います。
苦しかった2年目はどうやって乗り越えたのでしょうか?

鈴木志音:勝手に肥大化してしまった部分があるんだとは思うのですが、とても辛いこともたくさんありました。コロナ禍に活動を始めた僕たちはファンの方が声を出すことなども特に習慣化しないまま活動していて、なぜライブでこんなに盛り上がらないんだ、と心の中で思った時もいっぱいあったんです。でもライブに来てくれるフルファミ(THE SUPER FRUITのファンの総称)がいてくれるのは当たり前じゃないという当たり前の大事さに気づいて。その時から、「せっかく来てくださっているのだから、ライブの1本1本を死ぬ気で頑張ろう」と思いました。やっぱりフルファミの存在がいたから頑張れるな、と自分の中で思いました。
当たり前じゃないと気づいたきっかけは、なんだったのでしょうか?
鈴木志音:手紙でたくさんのことを書いてくださるファンの方が数多くいて、その思いに対してしっかり恩返しできるパフォーマンスをして、エンターテインメントを届けていきたいと感じました。だからきっかけは、ファンの人からの手紙や動画ですね。今、TikTokでも「メジャーデビューおめでとう」とか、僕たちに対するお祝い動画などを見て、もっと恩返しをしたいな、という気持ちが高ぶりました。
僕たちの歴史が反映されている新曲
ここでアルバムに収録されている過去の楽曲を振り返ってみたいと思います。特に思い出深かったり、ターニングポイントとなった曲は何でしょうか?

阿部隼大:全部大切な曲であるのが前提のうえで、『どーぱみんみん あどれなりんりん』(2024年8月リリースの配信シングル曲。前山田健一作詞作曲)ですね。比較的新しめの曲なんですけれど、THE SUPER FRUITのライブの流れが変わったというか。この曲を出してから、ライブを通して皆さんに楽しんでもらいたい、という気持ちをシンプルに入れつつ、本当に盛り上げてくれる曲で。
さらに7人ボーカルなので、誰かが歌っている時に誰かが盛り上げる、ということができるんです。さらにこの曲で日本47都道府県を回った(日本全国47都道府県フリーライブ – Road to TOKYO DOME CITY HALL -)こともあって、思い入れが深いですね。
47都道府県フリーライブでは、どんなハプニングがありましたか?
堀内結流:1番記憶に残っているのは、8月15日が僕の誕生日で、茨城県でライブだったんですよ。8月6日には晴海の誕生日があったんですけれど、イベントで誕生日となると、必ずMCで触れて、「おめでとう」とみんなで言うんです。曲でも一言のセリフがある部分は誕生日の人にやらせるといったことが、よくあるんですよ。でもその日はステージがあまり大きくなくて、『チグハグ』という曲でガーンと大きくコケて、壁にボンとあたっちゃった人がいて。
鈴木志音:あれ?
堀内結流:それは鈴木志音なんですけれど(笑)。僕たち史上初めて、曲を一時中断することになりました。これはちょっと大変だとなって、とりあえず見逃せないよ、みたいな感じで盛り上がったんですよね。
でも逆に盛り上がりすぎて。それが2曲目か3曲目ぐらいで、次にMCだったんです。「じゃあ結流、誕生日だね。おめでとう! …いや、志音、大丈夫?」と、結局全部持っていかれて。それで一言セリフも志音になっちゃって、僕の誕生日がサッと終わって、自分の中ではたぶん1番のハプニングだったな、と思っています。
全員:うわ~(笑)。

堀内結流:普通にハプニングだったし、僕の中でもハプニングでした。もっと「おめでとう!」「ありがとう!」という未来を想像していたんですけれど、全然違った未来で。今でもすごく覚えていますね。
それはちょっと心苦しいですね(笑)。
鈴木志音:そうですね。彼には申し訳ない気持ちです(笑)。
堀内結流:いやいや、思ってないでしょ(笑)。結構おいしいって思ったんじゃない?
今度、何か恩返しが必要ですね。
鈴木志音:そうですよね。誕生日近くにライブがあったら、今年こそ泣かすぐらいの感動を!
堀内結流:絶対、口だけで終わる(笑)。
鈴木志音:恩返しをしたいなと思っています!
今年の誕生日が楽しみですね。話を戻して、小田さんにとって思い出の曲は何ですか?
小田惟真:思い出深いというと、『青い果実』(2023年12月リリースのアルバム『青い果実』の収録曲。初めてメンバー7人全員がボーカルを務めた)を出したぐらいの時、高校2年生だったんです。その時にいろいろ思うことがあったんですけれど、自分が成長できたきっかけになりました。
さきほどてるくんが話した様に正直『チグハグ』以降、世間で肥大化した自分たちと実力差とのギャップみたいなのと格闘した1年間でした。その差に苦悩しながら挑む様に活動していたのが『チグハグ』『馬鹿ばっか』(2022年12月リリースLoppi・HMV限定盤 裏デビューシングル)『サクラフレフレ』(2023年3月リリース2ndシングル)『サマー☆★げっちゅー』(2023年9月リリース3rdシングル)くらいまでそんな感じで引きずりながら活動していたのですが、この『青い果実』のリリース時期に「このお仕事を本気で頑張りたい」という気持ちが強くなって、自分で切り替えようとしたんです。今だから言えるんですけれど、高校3年生で通信制に変えたんですよ。それをきっかけに、自分の意識がだいぶ変わったのかなと思いました。
まさに自分の人生を変えた曲なんですね。
小田惟真:そうですね。まだ青く未熟な僕たちを歌っている楽曲でもあるので、それを聴いた時に、もっともっと成長しようと思いました。
皆さんは、その時に小田さんの変化を感じました?
星野晴海:個人仕事がしっかり増えたり、最近になって成果が実って開花してきているので。それは切り替えができたことで、今、咲いているのかなと思って見守っています。
外から見ても、変化が明らかだったんですね。松本さんはどの曲を選びますか?

松本勇輝:僕はちょっと被ってしまうんですけれど、『どーぱみんみん あどれなりんりん』です。今までもポップで前向きなメッセージの曲はあったんですけれど、『どーぱみんみん あどれなりんりん』はこれまでの曲とは違った中毒性があって、かつフレーズが喋り口調、問いかけるような感じが多かったんです。
今までの曲はTHE SUPER FRUITの松本勇輝として歌っていたんですけれど、それプラスもっと自分のキャラクター性だったり、自分の言うフレーズで出したりして。歌っぽくしないというか、自分がすごくテンションが上がった時の口調で問いかけるような感じですね。当時、レック前などにそういう練習をすごくしていて。『どーぱみんみん あどれなりんりん』は僕の中ですごく新しかったので、挑戦して、また違った表現ができたと感じています。
『どーぱみんみん あどれなりんりん』は人気ですね。田倉さんは何を選びますか?
田倉暉久:僕は時期的なものになってしまうんですけれど、『らりるサプライズ!』(2024年5月リリースの配信シングル曲)かな、と思っています。『青い果実』まではこの先どうしようという感じだったんです。でも『らりるサプライズ!』の曲を初めて聴いた時に、今まではポップな曲はたくさんあったんですけど、『らりるサプライズ!』みたいに臨場感というか劇場感ある壮大に盛り上がる曲というのは実はそんなになくて。
シンプルにそういった明るい曲調に勇気づけられ、この曲をひっさげてリリースイベントを行ったんですけれど、その中で少しずつこの活動に対してプラスに捉えられる部分が増えてきたりしたので。そういった意味で『らりるサプライズ!』はスパフルの曲の中でもとても好きな曲になっています。
あと今回は新曲『だいぶダイバーシティ』も収録されています。<好きなものを好きだと言おう! できない事を恥じないでいよう!>と、この曲も自己肯定感を上げてくれるナンバーですよね。皆さんはどんな曲だと感じましたか?
鈴木志音:初めて聴いた時にすごく直球で物事を伝えてくれている曲だな、と感じました。僕は曲を理解するために何回も聴いてしまうことが多いんですけれど、本当に1、2回ですんなり入ってきて。歌詞もこれほど直球の曲は初めてだったので、自分たちもそれを汲み取り、またフルファミに届ける時に、もっとド直球にみんなの心に繋がると、いいなと思います。
阿部隼大:初めて聴いた時に、すごくいろいろな展開があると思いました。チーフマネージャーさんから聞いたんですけれど、1番のBメロで、それまで結構ゆったりした曲調が一変してすごく激しくなるんです。それは僕たちの歴史をたどっているというか。
僕らがデビューして『チグハグ』が思いもよらないくらい知ってもらえた故に、いろいろなこと苦悩も経験して。そこから今はまたこうやって7人でちゃんと活動できているという、僕たちの歴史をそこに当てはめてくださっていて。それを聞いた時にすごく鳥肌が立ちました。
そこまでの思いを曲に入れてくださったんですよね。それをインディーズ最後のこのアルバムに入れることができて、チーフマネージャーさんからの愛をすごく感じます。この曲はメジャーデビューしたとしても、ずっと大切にしていきたい曲だなと思いましたね。

星野晴海:レコーディングは今までとまた違いました。裏声がたくさん使われている曲は珍しかったので、その点では結構みんな苦労して、歌い方を工夫したりしましたね。インディーズからメジャーを祝福してくれるような曲調になっていたので、そこは楽しんで、晴れ晴れしい気持ちでレコーディングできました。
本質は崩さず成長していきたい
ところで私たちの媒体名Lotusは蓮の花という意味なのですが、このアルバムを花や植物に例えるとなんでしょうか?
田倉暉久:僕は梅の花かなと思います。僕の幼稚園が桃組、桜組、梅組の順番だったんですよ。このインディーズ期間を幼稚園と例えて、これから小学校、中学校、高校があるとしたら、次のステップに進むための梅組でとなるんじゃないかなと思いました。
小田惟真:僕はタンポポ。僕たちのインディーズ期間は黄色の花にして、準備してから空に飛び立つんじゃないかと。
一同:おお~。
小田惟真:黄色がたくさんあるのは綺麗だけど、やっぱりいろいろな人に届いてほしいので、世界にそういうものを飛ばしていけたらと思います。

堀内結流:僕はチューリップだと思います。まず色がいっぱいあるし、すごく色鮮やかなんですよ。そして小さい時からみんな知っているし、おばあちゃんおじいちゃんになっても身近な花だと思うんですよ。
生活にあると彩りになるし。決して必要不可欠ではないかもしれないけれど、見ていて気持ちがいいと思うんです。もともと僕たちも必要不可欠ではないけれど、果物があると嬉しいような存在でありたいというグループの意味がありますし。だからこのアルバムがチューリップみたいに色鮮やかであるとうれしいし、全員幸せになれる花だと思います。
松本勇輝:僕は桜の花です。インディーズではつらいことも楽しいことも、すごくいろいろなことを経験したんですけれど、毎年本当にすべて違ったなと思って。最近は桜の花が咲くタイミングが結構年によって変わりますよね。今年、去年は遅かったし、毎回開花するタイミングが違うじゃないですか。
僕たちも今まで全ての曲が開花はしたんですけれど、そのタイミングは別々だったので。こうやっていろいろなことを経験できたのは、すごくよかったと感じます。インディーズが終わって悲しい気持ちもあるけれど、また散ったらきれいに咲くじゃないですか。だからメジャーデビューした時はもっと満開にさせたいなと考えて、桜の花だと思いました。
鈴木志音:僕は単純にバラだと思っています。バラは特別な日などにあげるじゃないですか。そんな存在でありたいなと。みんなにとって特別で、スパフルがいたから頑張れる、という意味で。スパフルとバラをかけて、バラのように素敵な存在になりたいです。
阿部隼大:僕はひまわりです。種が曲たちですね。僕たちの今回のアルバムは13曲あるんですが、いっぱいある種が曲で。ひまわりの種って、ハムスターが食べるじゃないですか。だからハムスターが聴いてくれる人、フルファミですね。

一同:笑。
堀内結流:それは太陽とかの方がいいよ! 太陽が皆さんで、その太陽に向かって、皆さんがいるから、俺たちは咲けるとか(笑)。
びっくりするくらい、いろいろな花が出ましたね。最後、星野さんはいかがですか?
星野晴海:スイートピーの花言葉が門出だった気がするんですけど、『だいぶダイバーシティ』がウエディング調の曲で、しかもその『BEST FRUIT BOX』も今までのシングルが出された順番に収録されていて、それを見ればはるたちの歴史や大筋がよくわかる、一種の卒業アルバムみたいな感じのアルバムになっているので。そういった意味で、今年インディーズラストに『だいぶダイバーシティ』という門出を迎えて、また新しいステップを一緒に踏み出そうみたいな意味で、スイートピーかなと思いました。
さまざまな見方ができる、ベストアルバムですね。最後になりますが、今の意気込みと5月に開催するツアー(「ROCK! ROCK! FRUIT! – インディーズラストライブハウスTOUR -」)への思いを聞かせてください。
田倉暉久:こうやってメジャーデビューできるのは、すごくありがたいことで、また新しいスタートを切ることだと思うんですけれど。僕たちも周りの環境が変わりますし、結果もより出していかないといけないし、また見てくださる皆様から見ても、スパフルがどんどん変わっていっているんだということが如実にわかってしまう期間で。
また大変な闘いも待ち受けてる思うんですけれど、スパフルとしての本質は崩さずに、皆さんが求めている楽曲やパフォーマンスは変わらず、スパフルの良さとして残しながら成長していけたらいいなと思いますので、変わらずに応援し続けてくれたらうれしいです。
ツアーについては、スパフルがみんな成人をそろそろ超えたとはいえ、まだいろいろなこと吸収できる期間ですし、多様な引き出しをまだこれから作れる期間なので、新しい成長と発見をまたツアーで見てもらえたらいいな、と思います。
TEXT キャベトンコ
PHOTO Kei Sakuhara
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