【インタビュー】Lotus初登場!異色のアイドルグループ・22/7が開いた新たな可能性の扉に迫る
秋元康総合プロデュースのもと、SonyMusicとAniplex がタッグを組んで生まれたデジタル声優アイドルプロジェクト・22/7(ナナブンノニジュウニ)。日本を代表する有名クリエイターがてがけたキャラクターを実在する声優アイドルが演じ、バーチャルとリアルの2軸で活動を展開する異色のアイドルグループとして注目を集める通称・ナナニジが10月30日、13枚目のシングル『YESとNOの間に』をリリースする。彼女たちにとっては初のアニメ作品のタイアップとなる7月度のTVアニメ『ATRI -My Dear Moments-』のエンディングテーマにも起用され、大きな話題を呼んだこの表題曲を筆頭に、個性豊かな楽曲が揃った今回のシングルは22/7のターニングポイントとも言えそうだ。聴きどころ満載な今作について、天城サリー、四条月、望月りのの3人にグループを代表してたっぷりと語ってもらった7000文字超のインタビュー。まだ彼女たちに出会っていないあなた、これはチャンスです。
成長とともにいろんな武器が増えた
この7月から10月までの3ヵ月間、TVアニメ『ATRI -My Dear Moments-』のエンディングテーマとして流れていた『YESとNOの間に』がいよいよCDとなってリリースされますね。今、どんなお気持ちですか。
天城サリー:準備的には1年ぐらい前から始めていた曲なんですよ、実は。去年の下半期に、初めてアニメのタイアップが決まったという話を聞いて以来、ずっとワクワクしていたので「あ、まだ発売されてなかったんだ!」っていうのが正直な気持ちなんです。カップリング曲含め、ようやくみなさんに作品として聴いていただけるのがすごく楽しみですね。
1年近く、楽曲と向き合ってきたなかで、曲に対する想いとか「こういう曲だと思っていたけど、実はこうだった」というような変化が生まれたりもしたのでは?
四条月:変化という点で言うと、この曲を最後にメンバーの涼花萌さんがご卒業されたんです。私と萌さんは歌割りが一緒だったので、今、隣に萌さんがいないのがすごく寂しくて。でも萌さんから「るぅちゃんは声がかわいい」って褒めてもらうことが多かったので、萌さんが好きって言ってくれるこの声でこれからもしっかり歌っていきたいなって思っています。
望月りの:最初は単純に「アニメのエンディングになるんだ、嬉しいな」っていう気持ちでいたんですよ。でも、この曲で萌さんが卒業するんだって思ったら萌さんへの応援ソングに聴こえてきて。同時に私たちに対しても背中を押してくれる曲なのかもしれないって歌詞を読んで思うようになったんです。
天城さんはいかがですか。
天城サリー:今年の夏フェスで何回かこの曲を歌ったんですけど、初見の方々もすごく盛り上がってくれたのが印象的でした。今までのナナニジのシングル表題曲は、シリアスでメッセージ性の強い曲がわりと多かったのですが、『YESとNOの間に』は曲調も今までにないくらい明るくて、そういった盛り上がりを見るたびにナナニジの新たな可能性を実感していました。
思いきりアッパーで前向きな曲だから、みなさんも歌っていて楽しいでしょう。
天城サリー:そうなんです。“「よっしゃー行くぞ」”とか“「もう一丁、行くぞ」”とか曲のなかに掛け声のパートがあって、今まで使ったことのない言葉だったので、最初は戸惑いました。でも後輩メンバーたちはめっちゃ明るいので、この曲がピッタリですし、私も今はまったく違和感なく歌えています。
望月りの:私たち後輩メンバーが入ったあとぐらいから、だんだん明るめの曲が増えたような気がしているんですけど……。
天城サリー:うん、そう思う。
望月りの:もちろん、それまでのナナニジが歌ってきた、心に刺さる曲も大好きですし、絶対に大事なものだと思うんです。だから表題曲が明るいときは、カップリングにメッセージ性の強い曲が入っていたりするんですけど、それってナナニジがどんどん成長していくなかでいろんな武器が増えてるってことだなと思って。メッセージ性の強い曲もあれば、元気な曲もあれば、面白い曲もあって……サリーさんも言っていたようにどんどん可能性を広げられている気がします。『YESとNOの間に』はナナニジを知らない人でも盛り上がってくださいますし、そういう曲があったらいいなとも思っていたので、もっともっとたくさんの人に聴いてもらいたいです。
アニメ『ATRI -My Dear Moments-』をきっかけにグループを知ってファンになったという方も非常に多いですし、初期から応援されているファンの方にもすごく好評な曲ですよね。13枚目にしてグッと間口を広げてくれた、ある意味、ナナニジのターニングポイントとなる作品だと言っていいのかもしれないと思ったりもするのですが。
天城サリー:そうかもしれないですね。今日の取材メンバー3人のなかでは私が唯一の先輩メンバーで、デビューから今年で7年目になるんですよ。もう7年目、もう13枚目って思ったりもしますけど、こうして初のアニメタイアップをいただけたり、それによって新しい出会いがあったり、まだまだいろんなことができるんだなって思います。
「佐藤さん」には秋元康イズム感じます
いろんなことという意味では、カップリングの『佐藤さん』にも驚かされました。EDMサウンドに乗せて“佐藤さん”を連呼し続けるとは、なんて振り切れた曲なのか、と。
望月りの:最初、笑いすぎて聴けなかったんですよ、「秋元先生、どうしちゃったの!?」って(笑)。でも私たち自身が聴いてびっくりするくらいぶっ飛んでいる曲だからこそ、初めてナナニジを知る方にはすごくインパクトがあると思いますし、ずっと応援してくださっている方にも「新しい!」って面白がりながら受け入れてもらえる気がします。
まさにこれまでのイメージを刷新するようなシングルだと思うのですが、グループやご自身が変化することについてはどう感じていらっしゃいますか。
天城サリー:自分としては変わっていくぞ、みたいな気持ちはあんまりないんですよね。それこそ『YESとNOの間に』のような明るい曲が表題曲になったり、『佐藤さん』っていう本当に面白い曲がメンバー全員曲のカップリングになったりして、変わっていくぞというよりは、変わっていくのかな? みたいな。もちろんこれからもナナニジとしてのメッセージはしっかり曲でもライブでも伝えていきたいですし、そういう意味では変わるというよりは幅が広がった感じ。いろんな方にナナニジを知っていただくチャンスになるシングルだなとは思っています。
四条月:私も特に変わろうと思うことはなくて、逆に曲がいろいろ変わっても自分のことは普遍的に保っていきたくて。ただ、『佐藤さん』に関して言うと……私、秋元康先生の作られるものが大好きなんですけど、乃木坂46さんの『ポピパッパパー』やNMB48さんの『北川謙二』と同じ秋元先生イズムをこの曲に感じたんですね。そこは今までのナナニジと違う、個人的に嬉しいポイントで。だからこそ、パフォーマンスするときは乃木坂さんみたいに真顔で歌ったり踊ったりと、最初は考えていたんですけど、先日、埼玉のリリースイベントで初披露したとき、メンバー全員がニコニコだったんですよ。観てくれたファンの方が「みんなが楽しそうに歌っているのがいいところだよね」ってXでつぶやいていて、そんなふうに言っていただけるなら何よりだなって思いました。
私が捨てたい常識は、敬語!
つまり変化というよりバリエーションなんですね。望月さん、天城さんがおっしゃった武器や幅という言葉が改めて腑に落ちました。ちなみに『YESとNOの間に』の歌詞には<常識なんて捨てて行け!>というフレーズがありますが、みなさんが捨てたい常識ってありますか。
天城サリー:私、あります! 敬語をなくせたらいいなって思うんですよね。敬語ってどうしても上下関係の壁を意識してしまって、なかなか仲良くなりづらいというか……私はこれまで人生のほとんどをアメリカで過ごしてきたんですけど、英語には丁寧な言い回しはあっても日本みたいな敬語ってあまりないんです。なので、海外のイベントではスタッフさんと「またね!」ってフランクに言い合えるのに、日本ではずっと敬語なのもあって仲間になるまでにちょっと時間がかかっちゃう気がして。もちろん状況によりますけど、できれば敬語はポイってしたいですね(笑)。
望月りの:私は、大人になると夢を見づらくなる風潮をなくしたいです。自分自身、何歳になってもやりたいことをなくさない人間でいたいですし、「もう大人なんだから」みたいな見方はせずに、無理でしょって思うようなこともとりあえずやってみようっていう気持ちをなくさないようにしたいです。むしろ、それを常識にしたい(笑)。
四条月:常識かどうかわからないんですけど、私がひとつ思っているのは、休むことを恐れない。これはファンの方にもぜひお伝えしたいです。SHOWROOMの配信をしたりブログを更新したり22/7として活動するなかで、ファンの方がよく「るぅちゃんが頑張ってるから、僕も頑張る」って言ってくれるんです。私のやっていることがみなさんの元気の源になっているならとっても嬉しいんですけど、頑張りすぎなくてもいいんだよとも思うんです。つらいときや大変なときはサボってもいいから自分を大切にしてほしい。休むのはよくないことみたいな固定観念をなくしていけたらいいなと思っています。
壁をなくすことも、夢を持ち続けることも、ときには自分を休ませてあげることも、全部生きるうえで大切なことですよね。『YESとNOの間に』はそういう気持ちにも寄り添って励ましてくれる曲なんだなって今、お話を伺っていて思いました。そしてもうひとつ、ナナニジのシングルを語るうえで欠かせないのが、グループ内ユニットのカップリング曲です。今回も完全生産限定盤A/B/C、通常盤、ATRI盤とそれぞれに雰囲気別ユニットの曲が収録されていますね。
天城サリー:あ、この3人ってみんな違うユニットなんだ。今、気づいた!
望月りの:もしかして仕組まれてますか? これ。
マネージャー:はい、仕組みました(一同爆笑)。
望月りの:どうりでめずらしいの3人だなって思ってました(笑)。
天城サリー:なかなか一緒になることがないもんね。
四条月:私は今日の組み合わせを聞いたときにそうなんだろうなって思ったよ?
天城サリー:さすが!
望月りの:何も考えてなかった、私(笑)。
同じ赤でも2種類あるという気づき
貴重な3ショットなんですね。では、まず四条さんが所属する蛍光灯再生計画の『赤いバラの理由』(完全生産限定盤A/B/C収録)について。秘めた情熱を感じさせる大人っぽさが“らしさ”を感じさせる1曲に仕上がっています。
四条月:私も最初にデモ音源を聴かせていただいたとき、蛍光灯再生計画の王道曲だなっていう印象を受けました。でも王道のなかにも歌詞には“心の血を…”というハッとさせる言葉があって、こういう表現をできるのが22/7の強みだなと思ったんですよね。ただ、練習を始めた当初の解釈に対して、練習を重ねていくうちに「ちょっと違うかも……」という想いが生まれてきて。そこからもう一度、しっかり歌詞を読み込むことでやっと正解が見つけられた気がしました。
解釈が違うというと?
四条月:バラの色の“赤”についての解釈をたぶん間違えていたんです、私。“赤”と聞いてイメージする鮮やかな色と、血の色の赤は違うんだって途中で気づいて。最初は同じ赤だと思いながら歌っていたんですよね。でも、「あれ? なんか違う……?」と思い始めて、歌詞を読み直していったら思い違いをしていたことがわかったんです。同じ赤でも2種類あるんだって曲を通してはっきり見えてきたのが今までにない経験でした。あと、今回は歌のなかにラップパートが入ってるんですよ。<忘れない 忘れられない/もう全て過去の季節のこと/離れない 離れられない/思い出の一番 そばにいたい>のところなんですけど。赤い色についての解釈が自分のなかでしっくりきたことで、そのラップパートもより気持ちを込めて歌えるようになったんです。
最初はノリノリな感じでやってみようという話だったんですけど、いざレコーディングをさせていただいたときに「四条さんのその感情の込め方がすごくいいから、ここはエモーショナルなラップにしよう」って褒めていただいて、今の形に方向転換することになって。歌詞を深く読んでからレコーディングに臨んでよかったと思いました。