
白塗りのヴィジュアルロックバンド・キズ。日本武道館で単独公演を行う人気、その理由とは?

キズというバンドの人気とは
『キズ』というバンドをご存知だろうか。
2017年、突如としてヴィジュアルロックシーンに現れた彼らはその勢いを落とすことなく活動を続けている。
まずはバンドの魅力について、紐解いていこうと思う。最初は”白塗り”という奇抜なメイクとアートなファンションスタイルに目がいく。だが彼らの最大の魅力は、やはりスキルの高い演奏面ではないだろうか。
メンバーは音源・ライブ共に圧倒的なパフォーマンスを魅せる、Vo.&Gt. 来夢 [ ライム ]、Gt.reiki[ レイキ ]、Ba. ユエ、Dr. きょうのすけの4人からなる。
バンドの真ん中に鎮座する来夢の圧倒的な歌唱力は、音源でもライヴでも抜群の安定感があり、初見でも惹き込まれてしまうキズの魅力の1つといえるだろう。
そして、その歌声を支えているのが、幅広いジャンルを弾きわけるギターのreiki、テクニカルにリズムを刻むベースのユエ、見た目の奇抜さとは裏腹に真摯に叩くドラムのきょうのすけの3人である。
ある種凸凹に見える4人ではあるが、このメンバーだからこそ生まれる化学反応が聴く人全てを魅了するのだと思う。
そして、特筆すべき点は楽曲の幅広さにもある。キズの全ての楽曲の作詞・作曲を手掛ける、フロントマン・来夢は、過去のインタビューを拝読すると、「作曲作業が嫌いで、音源よりもライヴ至上主義」と発言していた。
そんな彼が楽曲に用いるリファレンスは実に多角的である。幼少期に触れたクラシックから、壮大なストリングスアレンジも巧みに使いこなす。日本の歌謡曲の造詣も深く、HIPHOPも好みだという。現在の音楽シーンは、ミクスチャーというジャンルが席巻しているように思うが、キズは『ヴィジュアルロック』を名乗りながらもそこに当てはまっている。
ジャンルに当てはまるというよりは、他とは一線を画している、と個人的には感じている。その証拠に、彼らは過去に東海地区最大級の入場無料ロック・フェス”FREEDOM NAGOYA 2023 -EXPO-“に出演、数多の邦楽ロックバンドとの邂逅をこの年唯一のヴィジュアルロックバンドとして果たしている。これは幅広い楽曲を生み出し続け、もともと来夢がライヴ至上主義だからこそ生み出した結果なのかもしれない。
数多の音楽ジャンルを自在に乗りこなす来夢だが、最新曲「R/E/D/」もまた、凄まじい仕上がりである。キズらしいミクスチャーサウンドは聴いていて胸が高鳴るが、何よりも話題となっているのは曲を聴き進めていくと理解できる、先輩バンドへの尊敬。
歌詞のフレーズからgirugameshやDIR EN GREY、MUCCなど先輩への熱いリスペクトを感じることができるのである。これはすでに公式Xにて1 月 6 日の武道館公演直後に公開された「- rough mix ver. – LYRIC VIDEO」で、キズのファンのみならず他のヴィジュアル系ファンからも大きな反響を得ている。
この楽曲はヴィジュアルロックバンドとして、唯一無二の場所まで行くための布石とでもいうのだろうか。先人への尊敬の念を忘れることなく、キズとしてまだ見ぬ景色を見に行こうとする4人の姿が音から伝わってくるのだ。
「R/E/D/」を聴いて、来夢の圧倒的な歌唱に惹かれたのなら、彼らの面白い試みに触れてみるといいだろう。その名も「一撃」。一撃とは、キズの来夢がゲスト・ボーカリストを迎えてキズの楽曲をセッションするというYouTubeコラボレーション企画であり、過去には来夢自身がリスペクトしてやまない逹瑯(MUCC)、ガラ(メリー)、団長(NoGoD)、大森靖子、NOBUYA(ROTTENGRAFFTY)、葉月(lynch.)などのボーカリストとコラボレーションを果たしている。
今年も年始から『一撃 お正月スペシャル−反撃−2025』と題し、「一撃」-1st season- 第一弾アーティストとして登場した逹瑯(MUCC)を筆頭に、暁(ΛrlequiΩ)、田澤孝介(Waive)とのコラボレーションを観ることが出来る。来夢のハイトーンボイスの凄まじさを耳元で体験していただきたい。
ソールドアウト続きのライブバンド
キズは2017 年 4 月 18 日に始動し、僅か4か月で開催された 1stONEMAN「失敗」は、キャパシティ250人の会場に1300枚もの申し込みが殺到。なんと1秒で完全SOLD OUT を達成したのである。始動から界隈に大きな傷跡を残した。
そんなファーストインパクトから、彼らは確かなスキルを武器に大舞台でのライブを次々と成功させていく。始動の翌年にはZepp Tokyoでの4thワンマン、2019年にはホール規模でのワンマンツアーを敢行し、2会場同時開催ライブという面白い試みも成功。コロナ禍を経験してもその勢いはとどまることを知らず、2022年にはLINE CUBE SHIBUYA、日本青年館ホール、日比谷公園大音楽堂にて単独公演を成功。
2023年にはNHKホールにてキズ単独公演「残党」を開催。昨年は、”キズ ASIA TOUR Bee-autiful World”を東京・上海・台北で成功させ、6月には、国立代々木競技場第二体育館にてキズ 単独公演「星を踠く天邪鬼」を成功させた。
こうして彼らの活動を振り返ってみると、キズは始動から話題性に事欠かないのが分かるだろう。
そんな彼らが、2025年1月6日、日本武道館で初の単独公演を敢行。
バンドとして初めてとなる日本武道館、長年応援してきたファンたちにとっても待望のライブだったことだろう。
『焔』と銘を打って開催されたこのライブは、アンコールも含めて全18曲を披露。1stシングル「おしまい」からこの日初披露となった最新曲「R/E/D/」まで、彼らの軌跡を辿るようなライブは、オーディエンスをキズの世界へと誘う圧倒的なステージングで絶えず魅了し続けた。そんなメンバーに応えるべくフロアも熱狂し、日本武道館は揺れる。晴れ舞台でありながらいつも通りのスタンスで変わらないライブを繰り広げる様は、まるでライブハウスを思わせる様相を呈した。
キズの初となる日本武道館公演の模様は、ライブDVD『キズ 単独公演「焔」2025.1.6 日本武道館』として、4月9日にリリースされる。
ヴィジュアルロックバンド界の旗振り役として、今後ますますメインへと駆け上がっていくであろう・キズ。枠にとらわれない彼らの音楽に一度触れてみることで、より一層キズの音楽の魅力に気づくことが出来る。まずは手始めに16th SINGLE『R/E/D/』、そしてLIVE DVD『キズ 単独公演「焔」2025.1.6 日本武道館』がリリースされる4月9日まで、キズの過去作に触れておくことをオススメする。
TEXT 笹谷淳介