
【インタビュー】Conton Candy「思春期って人生の迷路みたいな時期だと思います。」最新作「スノウドロップ」に込めた想い

Conton Candyの最新配信シングル『スノウドロップ』が7月6日に配信リリースされた。同楽曲は、アニメ『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』のオープニングテーマに起用中。9月10日(水)には、同楽曲のCDシングルリリースも決定。11月には、『Conton Candy pre. Boost! Boost! Boost! Tour 2025』と題した東名阪対バンツアーも決まっている。ここでは『スノウドロップ』の話を中心に、Conton Candyとはどういうバンドなのかを伺った。
限られた時間枠がある場合、いかにファーストインパクトを与えられるかも大事。
TVアニメ『SAKAMOTO DAYS』エンディングテーマとして流れた『普通』に続き、今度は、『スノウドロップ』がアニメ『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』のオープニングテーマとして流れています。他にも、『恋』がソニー銀行 Web CM「バイト代振り込み編」のCMソングに起用されるなど、今年はタイアップが続いています。普段の楽曲制作とタイアップ曲では作り方に変化が出るのか。まずは、そこから教えてください。

紬衣(つむぎ/Vo.&Gt):タイアップ曲の場合、流れる尺が決まっているからこそ、限られた時間枠の中へ、どう「自分たちの活きる色」を出していくかは意識しています。普段から、どんな人が耳にしても入ってきやすいメロディーを意識して、「あまりイントロは長くならないように」など心がけていることはありますが、タイアップがない場合は枠を定めて作ることがないぶん、より自由度高くやっています。
『スノウドロップ』は、いきなり歌から始まります。そこも意識したこと?
紬衣:意識しています。『スノウドロップ』もそうだし、他の曲の場合も含め、最初の一音目や始まった瞬間にどれだけ耳を惹きつけられるか。定められた時間の中で、どう曲を展開していくかなどは、タイアップ曲のときは普段よりも意識しています。楽曲の使用秒数が限られている場合、いかにインパクトを与えられるかが大事だと思うので、そこも心がけています。
彩楓(さやか/Dr.&Cho.):つむ(紬衣)は、いつも面白い展開の曲を持ってきてくれます。『スノウドロップ』も、2番のBメロでラップのような展開が入るなど聴き飽きない曲になったなと思います。
楓華(ふうか/Ba.&Cho.):そのぶん、ビートもいろいろ工夫をしたので、そこも意識して聴いてほしいです。
『スノウドロップ』は密度の濃い楽曲。でも、コンパクトに曲をまとめあげましたよね。
紬衣:1曲の中へ要素を多く詰め込み過ぎると、曲が長くなればなるほどお腹いっぱいになってしまう懸念があったので、引き算を意識しました。あえてライブでも活きやすいようにコンパクトにした面もありました。
思春期の時期に悩んでいる人の背中を押してあげられる歌詞にしたい
アニメ『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』(以下、「青ブタ」)でテーマになっているのが、思春期症候群(「思春期症候群」とは、『青春ブタ野郎』シリーズに登場する現象で、多感な思春期の少年少女が、自身の抱える悩みや葛藤をきっかけに、現実世界では起こりえない不思議な現象を体験する、というもの)。歌詞を書くときにこのテーマは意識していました?
紬衣:「思春期症候群」や「思春期」というテーマは意識していました。わたしの場合、自分の思いを主体に歌詞を書くことが多いのですが、「青ブタ」で「思春期症候群」や「思春期」は大切なテーマになっているからこそ、どこをどう切り取って自分の言葉で歌詞に反映しようかいろいろ考えました。その結果、思春期の時期に悩んでいる人を肯定して背中を押してあげられる歌詞にしたいなと思いました。
みなさん、「思春期」の意味をどのように受け止めていますか。
彩楓:思春期って、周りの意見を気にするあまり、人と比べて「あの子はこうだけど、わたしはこうだ」とか「自分はぜんぜん駄目だ」など、考え込み過ぎちゃうことが多かったなと思い返すんです。人生の迷路みたいな時期だと思います。でも、それを経て大人になるんだと思うと、すごく貴重な時期だとも思います。『スノウドロップ』の歌詞に「探して 彷徨って 生きる」と書いているように、まさにそういう時期。この言葉は、アニメに出てくる思春期のみんなにも共通する言葉だし、今、思春期真っ只中にいる人たちの気持ちにも、きっと当てはまってくれるだろうなと思います。
バンド活動も、思い悩み、葛藤する日々を繰り返しながらも未来を見て進んでゆくという面では、思春期の気持ちにも繋がるものなんでしょうね。
彩楓:共通する思いは感じます。だから、自分自身も『スノウドロップ』から元気をもらえているんだと思います。
楓華さんは、「思春期」という言葉をどのように受け止めていますか?

楓華:けっこう漠然としたイメージがあるというか、人によって受け止め方が変わることだと思いますが、わたしも彩楓が言ったように「人生の迷路」のように、悩み迷っている時期というイメージを持っています。
紬衣さんは、どうですか?
紬衣:思春期に”春”という言葉が出てくるように、わたしは「いろんな環境の変化や新たなスタートの時期」だと捉えています。自分自身ともそうだし、いろんな人ともぶつかりながら強くなっていく。思春期って、そういう期間じゃないかなと思っていて。今、自分が思春期を終えましたって胸を張って言えるかと聞かれたら、卒業証書をもらったわけでもないし、正直分からない。でも、あの時期を経たからこそ、自分が強くなれたとか、「あのときの自分は青かったな」と思えるし、今は、その経験を糧にもしている。そうやって大人になっていく時期のことを、わたしは“思春期”っていうのかなと思います。私自身は、今でも自分のことは子供だと思っていますけど(笑)。
表現活動をしていくうえで、悩み葛藤は常にセットとしてあるものじゃないですか?
紬衣:そうですね。
「ここまで繋がってきた思いのバトンを繋ごう」と思った。
『スノウドロップ』は、もちろん他の曲も含め、作品の世界観と自分の気持ちを、どう楽曲の中へ落とし込むのか。そこも気になりました。
紬衣:『スノウドロップ』に関して言うと、「青春ブタ野郎」シリーズのTVアニメ化は約7年ぶりになります。今回、わたしが意識したのが、第一作目のオープニングテーマが持っていた楽曲の世界観を崩したくはないということ。長くシリーズ化をしている作品って、それだけ多くの人たちに愛されてるということじゃないですか。私たちは自分らしさを貫けばいいわけじゃなく、私たちも、「青ブタ」のファンのみなさんに、いかに認めてもらい、その仲間に加えていただけるかを考えたとき、「ここまで繋がってきた思いのバトンを繋ごう」と思ったし、そこをまずは大切に楽曲を作り始めました。
今回は大学が舞台なので、自分たちが学生時代に感じていた気持ちもリンクさせていけるし、何より、原作を読みながら夢中になっていく中でいろんなキーワードやエピソードにインスパイアされたうえで、作品と自分の経験をリンクさせながら、そこで感じた思いを歌詞にしました。
彩楓:作品のこともそうだし、つむ(紬衣)自身の経験談も反映しているからこそ、私たちも曲の世界に入り込んでプレイしていました。
Conton Candy – スノウドロップ / Snow Drop|
アニメ「青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない」オープニングテーマ [Official Video]
紬衣さんの歌詞は、けっしてストレートにではなく、いろんな風に読み取っていけるようにも書いていますよね。
紬衣:もともとド直球な歌詞を書ける性格ではないというのもあるんですけど。「君なら出来るよ、頑張れ」「今のままで大丈夫だよ」と言うよりも、同じような思いでも、『スノウドロップ』でいうなら「一瞬香った花のように枯れないもの 探して 彷徨って 生きる」という言葉にして、わたしは背中を押していきたい。Conton Candyの場合、『スノウドロップ』に限らず、そういう余白を持たせた言葉を通して思いを伝えていく傾向は強いです。
『スノウドロップ』というタイトルを持ってくるセンスもいいですよね。
紬衣:スノウドロップは、花の名前で。その花言葉が「絶望の中の一つの希望」であり、裏言葉として「死を望む」という意味があります。思春期って、子供が大人になっていくうえで必要な時期。わたしはそれを、子供という感覚が一度死んで、大人に生まれ変わると捉えました。その過程の中には、絶望も含め、ネガティブな感情もたくさん生まれるんだけど。でも、そこに一つの可能性や希望を見いだしていく。そんな、自分なりの背中の押し方が出来る歌にしたくて、この曲のタイトルを『スノウドロップ』にしました。

彩楓:もちろん、真っ直ぐな言葉を詰め込んだ歌詞って、その言葉の持つパワーをダイレクトに受け止められるから好きというのもありますけど。つむ(紬衣)の歌詞を読んでいると、考える余白がすごくあるので、いろんな解釈が出来て楽しいんですよ。とくに好きなのが、そのときの自分の気持ち次第で、歌詞の解釈も変わっていくこと。自分の気持ちが元気なときと、ちょっと落ち込んでいるときでは、同じ歌詞でも受け止め方が変わっていくように、自分のメンタル次第でいろんな受けとり方をしていけるんです。
楓華:ほんとに、そう。気持ちが追い詰められて心に余裕がないときは、ド直球の歌詞を歌う曲を求めたりもしますけど。つむ(紬衣)の歌詞は、そのときの感情や時間帯、季節、聴く場所によっても受けとり方が変わっていくんです。そこがつむ(紬衣)の書く歌詞の面白さであり、Conton Candyの楽曲の魅力なんだと思う。
わたしは、『スノウドロップ』をクモマグサに例えたいです。
メディア名のLotusは蓮という意味があります。そちらにちなんで、『スノウドロップ』の魅力を「花」に例えて教えてください。

紬衣:わたしは「クモマグサ」です。花言葉が「漲る力」。『スノウドロップ』の面白さが、音源とライブではぜんぜん違った感じ方が出来ること。(取材時点では)ライブで演奏し始めて間もない中で感じているのが、「いい意味でライブ化けしそうな曲」ということ。だからわたしは、『スノウドロップ』をクモマグサに例えたいです。
彩楓:わたしは、「キキョウソウ」。花言葉は、「優しい愛」。『スノウドロップ』は、思い悩む思春期時代の人はもちろん、そうじゃなくても、聴いた人たちの背中を優しい愛でふわっと押してゆく楽曲だと思うから、「キキョウソウ」にします。楓華は、もちろん…。
楓華:「ハナセンナ」にします。
紬衣&彩楓 :えーっ!!
楓華:ハナセンナの花言葉が「輝かしい未来」や「大人の祈り」。思春期という言葉にフォーカスを当てての解釈になりますけど。「今はどんよりしてるようにも思えるけど、その先には輝く未来が待っているよ」。そういう思いを込めて、あえてスノウドロップではなく、ハナセンナを選びました(笑)。
9月10日(水)には、『スノウドロップ』をリード曲に。C/Wには、こちらも新曲の『虹色の羽虫』を収録したCD盤としてリリースになります。最後に、『虹色の羽虫』の魅力も教えてください。
紬衣:『虹色の羽虫』は、夏の終わりにフォーカスして「失われた夏」をテーマにした哀愁漂う曲になりました。また新たに、Conton Candyに新しいベクトルをもたらす楽曲が生まれたと思います。
彩楓:夏って、いろんな想い出を溜め込んでゆく季節。夏になると、過去のひと夏を思い出す瞬間ってあるじゃないですか。もちろん、夏の終わりの時期にも「今年はこうだったな」と思い返して、胸がギュッとなったり。そんなノスタルジーな思いに浸らせる、Conton Candyの新たな境地を描きだした、リリース時期にピッタリの楽曲になりました。
楓華:少し裏話になりますが、私たち、この曲を1枚の写真を見ながらレコーディングをしました。それが、綺麗な夕焼け空のもと、田んぼの畦道を、虫取り網と麦わら帽子をかぶった少年たちが歩いている写真で。夏休みの時期の、とある夏の日を映した写真を見ながらノスタルジックな気分で歌い演奏をしたから、その気持ちが楽曲にも詰め込まれているし、聴くときも、その景色を思い浮かべて聴いてもらえたら、より『虹色の羽虫』に浸れると思います。
以前も、そういう経験は?
楓華:『プードル』をレコーディングするとき、自分たちが飼っている犬の写真をそれぞれに持ち寄って録りました。そうすることで、より気持ちが入り込みやすいし、録り音も変わっていくんですね。ぜひ、そこも意識して聴いてください。よろしくお願いします!
TEXT 長澤智典
PHOTO Kei Sakuhara
Stylist: Nonoka Kameyama
Hair Styling & Make Up: Mizuki Akai
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