インタビュー

【インタビュー】all at onceに聞く過去・現在、二人の違い。新たな挑戦を詰め込んだ2作品についてたっぷりと話を聞く

【インタビュー】all at onceに聞く過去・現在、二人の違い。新たな挑戦を詰め込んだ2作品についてたっぷりと話を聞く

2人組ボーカルデュオ・all at onceが1人の女性目線の恋模様をテーマに描いた『Another Love』(10月30日リリース)、『ストロヴェリー』(11月11日リリース)を完成させた。2曲ともに彼らの魅力と新たな表情を垣間見ることができる快作に仕上がっているが、この2作品はどのようにして完成したのだろうか。今回は、ITSUKIとNARITOの二人にインタビューを敢行し、たっぷりと話を聞く。all at onceの過去と現在、そして真逆と形容される二人の違い、新曲の話と合わせてざっくばらんに語ってくれた。

どうしたらいいのか悩んだ、活動当初

まずはLotus初登場ということで、これまでの活動を振り返ろうと思います。2020年の活動開始から5年、CDデビューから4年目を今年で迎えます。コロナ禍など厳しい状況もあった中で、着実にデュオとして歩まれている印象を受けますが、お二人にとってどのような時間になっていますか?

ITSUKI:活動開始当初は、これから事務所に所属して夢を掴むという強い気持ちがありましたし、倉木麻衣さんのバッグコーラスなども経験して自分たちにとっても初めての経験ばかりで、これから頑張っていくんだという気持ちがあった中で2020年のコロナ禍にぶつかって。お先真っ暗と言ってしまうのは言い過ぎかもしれないですけど、どうしたらいいのかなという気持ちはありました。CDデビューが一旦なくなる形になりましたし、これから本当に歌うことができるのか、そういった不安な気持ちは当初ありましたね。

パンデミックは全世界が経験した未曾有の事態でした。そこから、どのように気持ちを切り替えていかれましたか?

ITSUKI:そんな中で、スタッフの皆さんやファンの方の応援があって、『星合』(2020年)など自分たちの代表的な楽曲をリリースさせていただいて。そこから改めて気持ちを切り替えてこういう状況でも音楽をしっかり届けていくぞと活動を続けていきました。3年〜4年目にはライブもできるようになってきて、ワンマンやツアーなど改めてお客さんの顔を見ると、感謝の気持ちでいっぱいになります。一方でライブでの力不足を痛感したり、そういうことを感じながら来年5年目に突入していくんですが、そこのブラッシュアップは出来ているのかなと思いますね。音源ももちろんですけどライブに一番自信があるので、ファンの皆さんにはライブに足を運んでいただきたいと強く思っています。

NARITOさんは振り返るといかがでしょうか。

NARITO:スタートラインからいきなり崖っぷちというか。当時は20歳そこそこで自分自身びっくりするくらい視野が狭かった。この時点で僕たちはここで終わりなんだという思いが一瞬よぎりました。第三者から見れば「始まったばかり、ここから」と思われると思いますけど、当時の僕からしたら絶望しかなかった。もちろん今考えれば全然そんなことはなかったんですけど……。僕はそこで歌うことを一旦やめたんですよね。全く歌わなくなって、そこから緊急事態宣言で外出自粛、朝までゲームして、とんでもない生活をしばらくの間は送っていました(笑)。

そんな状況からITSUKIと久しぶりに会って歌おうというときに、今までの自分からは想像も出来ないくらい最低の歌だった。それは歌っている自分が感じたし、隣のITSUKIが誰よりも感じている。いざ活動を再開しようというときに彼から「なんでそんなことになったんだ」、「プロとしてやるんだから」と言われて再認識するタイミングになったんです。改めてプロとして、人間としてどうするべきか。始まりのタイミングで確認出来たのは振り返ってみるとすごくよかったのかなと思います。

ITSUKIさんは歌えなくなっているNARITOさんについて内心どう思われていたんですか?

ITSUKI:練習してなかったんだなと正直に思ったし、気持ちが音楽に乗らない、活動に向けて進めない可能性があることに理解は出来たので。僕自身も、どうすればいいのかという不安が一番だったし、その不安を抱えたまま『星合』のプロモーションをしたりもしていたので、NARITOも切り替えて出来てないんだろうなと。だから、そのタイミングでどうするか決めようと思っていました。

それはグループの存続について?

ITSUKI:そうです。続けるのか辞めるのかそこで決めようと思って本人にも直接話をしたので。真剣にやりたくないとか音楽を嫌いになっているのであれば辞めよう。そうじゃないのであれば切り替えてちゃんとやれ!というのをそこで。NARITO自身、音楽を嫌いになったわけでないけど切り替えられない、当時は自分のことを嫌いになっていたと思う。

NARITO:あったね、そんなことを思っている時。

ITSUKI:気持ちが入らないまま練習をして、納得いく歌が歌えない状態。完全に負のループに入っていたので、僕から言えることは「切り替えろ!」ということだけ(笑)。

NARITO:すごく厳しく言われました。ここだけの話、僕は宙に浮いていましたから(笑)。

ITSUKI:(笑)。でも、先ほどNARITOも言っていましたけど、最初のタイミングでそうやって腹を割って話せたことがよかったと思います。

ITSUKIさんの愛の叱りがあってNARITOさんもマインドが変化していくと思うけど、「もう一度二人で」と思えた大きいキッカケみたいなものを何かありましたか?

ITSUKI:最初にやった配信ライブ。それが本当に初めてのライブだったんですけど、そこが大きなキッカケになっていると思います。お客さんがいない状況、高校生とのコラボも予定していたんですけど、それも叶わなくなってしまった中で、ふたりでもう一度頑張ってお客さんがいる景色が見たいと思ったし、いろんなことをここからやっていくんだと改めて決意できた気がします。ライブってやっぱり楽しいですよ! 自分たちの表現したいものが改めて明確になった。

NARITO:ライブということ自体久しぶりでしたし、ITSUKIが言うように当時は自分のことが大嫌いでした。だからライブをすることが怖いなと思ったし、配信とはいえスタッフの皆さんは現場で見てくれていたんですけど、その視線も怖い。本当に当時はネガティブだった。ただ振り返るとすごくいい経験をさせていただいたなと思いますし、ここまでの5年間の積み重ねで成長できていると痛感しつつ、まだまだ上はあるなと思いながらですけど、早い段階でいろんな経験をさせていただいたので、ターニングポイントで言うと最初の1〜2年くらいでたくさんある感じですね。

好きなことなのに怖いという感情があるのはメンタル的にもきついですね。

NARITO:恐怖でしかなかったです。カメラのレンズも恐ろしかった。冷たい目線を浴びている感覚(笑)。想像もできなかったんですよね、カメラの向こうでお客さんが観ていることを。反応が見えない中でのライブは不安ではありました。

ITSUKI:でも、今見返すとめちゃくちゃ面白いですよ。二人ともガチガチ!

逆にスタートラインからコロナ禍を経験できたことがall at onceにとって大きな力になっていると思います。

ITSUKI:それはありますね! 気づけることが多かった。

NARITO:全部が全部ポジティブということはないけど、人のありがたみや逆に冷たさも感じたり、数年でプロという世界をぎゅっと濃縮したような期間だったなと思います。

真逆な二人、ここが違ってここがいい

活動を振り返ったところで、理論派のITSUKIさんと感覚派のNARITOさん、真逆なふたりと形容されることの多いお二人ですが、お互いの違いや魅力を語るとしたらという小っ恥ずかしいパートに突入しようと思います。

ITSUKI・NARITO:あはは(笑)。イェーイ!!

ITSUKIさんから見てNARITOさんのここが違ってここがいいというところを教えていただけますか?

ITSUKI:楽曲に対する向き合い方は全然違いますね。僕はそれこそ歌詞の世界観というよりもバランスをみて歌うので、そういう面ではNARITOの我を出す部分だったり、自分の強さを活かす部分は羨ましいと思うし、いいところだと思います。

性格に関しては、良くも悪くもマイペース。僕は効率重視で生活しているタイプなので、NARITOのことを羨ましいとは一度も思ったことはないです(笑)。

NARITO:なんで?!

ITSUKI:本当に1度もない! 「効率悪っ!」って思ってる(笑)。でも、音楽に対しても自由に捉えていると思うから、そこはいいなと思います。NARITOの良さだなと思います。

NARITOさんはいかがですか?

NARITO:常々思うことは、インタビューのときもそうですけどMCも基本的にITSUKIが喋ってくれるんですけど、結構つらつら喋るんですよ! 僕からしたらそれが意味分からなくて。なんでそんなに次のワードが出てくるの?!みたいな(笑)。いつもすごいなと思いながら隣で聞いていますけど、きっと頭の中で色々と考えているんだろうなと。ITSUKIはマルチタスクが得意なタイプで、僕は出来ないので……。それは、すごいなと思う。めんどくさそうだなとも思いますけどね(笑)。

ITSUKI:本当に真逆だもんね。

NARITO:精神状態に左右されないタイプだと思うし、それがITSUKIのメリットなんじゃないかなとは思いますけどね。

音楽的には僕が聴いたことなかったものをずっと聴いてきている感じで。この楽曲はドラムとベースの掛け合いがとか、ここのコード進行がこうだからとか、コーラスに関してはITSUKIがつむことが多いので、そういったバランスをITSUKIが見ているからITSUKIらしさが楽曲の中にはあったり。ルーツがブラックミュージックやファンクだったりもするので乗り方が僕とは全く異なる。僕はJ-POPで四つ打ちの取り方をするので、それは羨ましいです。

裏で乗ってくる感じがカッコいいですよね。

NARITO:そうなんですよ! あのブラックの感じは羨ましいです!

ルーツの話題が出たので、ちなみにですがお二人のルーツも教えてください。

ITSUKI:僕は、ブラックミュージックやR&B。特にモータウン系が好きなので、スティーヴィー・ワンダーやジャクソン5、最近だとボーイズIIメン、ブライアン・マックナイトが好きですね。僕の好きなものを全て踏襲するとブルーノ・マーズだと思うので、一番コンサートにも行きますし、今一番好きです。

NARITO:僕は子供の頃に両親が聴いていたDREAMS COME TRUEさんだったり、Mr.Childrenさんだったりを今も変わらずずっと聴いているんですけど、ITSUKIに影響されていろんな楽曲を聴くようになってきました。上京する前までは、J-POPだけ! 特にバラード曲だけを聴いて育ってきましたね。

ふたりの音楽性が異なるから悩むということはなかった?

ITSUKI:それはなかったですね。目指す方向性は、めっちゃブラックでもないし、めっちゃJ-POPでもないので、いい感じに互いの好きなものミックスしながら出来ているのかなと思います。それこそ僕もNARITOの影響でJ-POPを聴くようになりましたし! 油断していると僕は90年代から出て来れないときとかありますし(笑)。

それは、分かる!

ITSUKI:ありますよね! 永遠と70〜90年代から出れない現象。

NARITO:その隣で僕がボカロとかを聴いているので混乱はしていると思います(笑)。

お互いの弱点というのもアレですけど、補完しあっているいい関係性ですね。

ITSUKI:それは、あると思います!

転機となった2ndアルバム

これは完全に私感なんですけど、2ndアルバム『The Greatest Day』がお二人の鍵となる作品なのかなと思っていて。KEN THE 390さんや大野雄大さん(from Da-iCE)といった方たちとの邂逅や自身でリリックを書いたりと、デュオとしての幅がかなり広がった作品。この作品以降で音楽に対する考え方も変わったのではないかなと思ったんです。

ITSUKI:確かに変わっていますね。それこそ、コンスタントにライブが出来るようになったので、向き合い方や改めて自分に足りないものに気付けた作品になっている気がします。ライブをしていないと、足りてない部分や見えてない部分もすごくあって。そこから改めてライブをしていく上で自分の実力や歌の技術もそうですけど、ライブというものがどういうものなのか、『The Greatest Day』以降ですごく考えていると思います。

お客さんを楽しませないといけないのはもちろんですけど、お客さんにどう届けたいのかを考えるようになっていますね。最初はとにかくお客さんを楽しませてファンになってもらうことを考えていましたけど、今はこういう音楽を伝えたい、こういう言葉を届けたいということを意識するようになった。

NARITO:自分たちの我が少しずつ出るようになったと思います。パーソナルな部分が楽曲を通して皆さんに伝わることが増えたんじゃないかなと思いますね。あとは、all at onceとして活動をしていく中で「ジャンルってなんだろう?」と話すことがあって、それが『The Greatest Day』のタイミングでこれからどうするのかという時、ここまで歌ってきた曲、まだ世に出してない曲も含めて、“縛られないスタイル”の方がいいよねという着地で。いわゆるジャンルレスで自分たちが好きな音楽、自然と体が乗るような音楽、率直な気持ちを表現したいなということをそのタイミングで共通認識として持ったので、それが今も続いているのは大きいですね。

ITSUKI:どのジャンルが刺さるということではなく、例えば星野源さんも藤井風さんもその人そのものがジャンルになっているじゃないですか。そういうところを目指していければいいなと思っています。

確かに現在のポップス界において、ジャンルという縛りはあまりないかもしれない。

ITSUKI:何を歌っているかっていうより、誰が歌っているか、誰が作ったかみたいなところだと思うので。だから、本当に僕たち自身が人としてアーティストとしてどれだけ成長できるかが大事だと思っています。

でも、我が出てきたと思えることってめちゃくちゃいいことですね! それこそ縛られない!

NARITO:こういうインタビューとかでもすごく話しやすくなりました。最初は楽曲のイメージを一回全て頭に落とし込んで、上手い言い回しをしようと色々考えていて。もちろんその時はその時しかない言葉があったんですけど、今はもう本当に脊髄で喋っている感じなんで(笑)。

ITSUKI:だから、マネージャーが一番ヒヤヒヤしていると思います(笑)。

初挑戦を詰め込んだ『Another Love』

それでは、本作『Another Love』、『ストロヴェリー』についてお聞きします。今作は、1人の女性目線の恋模様をテーマにした2作品です。なぜこのテーマを選んだのでしょうか?

ITSUKI:今までラブソングを歌ったことはあったんですけど、特定の誰かという目線で歌ったことがないなと。『Another Love』ではそれこそ新しいジャンル感やサウンド感に挑戦したいという気持ちがあったので、その中で、失恋でなおかつ女性目線で進めていくのがいいのではないかと思いました。

NARITO:初の失恋ソングだったので、「まず失恋ってどうしてたっけ?」というところから始まりました。「恋に敗れた時ってどういうマインドだったっけ?」というところからでしたね?

ITSUKI:そうだね。初々しい心を一旦思い出して……(笑)。まだまだ全然若いですけど、届けたいターゲットが20代前半や僕たちと同じ世代に届けたいという気持ちがあったので、一旦そういうマインドになろう!と思ってめっちゃドラマとか観ましたね(笑)。

ちなみに何を観たんですか?

ITSUKI:『First Love 初恋』は観ましたね! あとは、学生の頃にやっていたドラマや映画を観ました!

NARITO:僕は、『カノジョは嘘を愛しすぎてる』を観た! 当時は映画館で観たんですけど、周りはカップルだらけで、その時の自分が一番失恋した気持ちだったな〜と(笑)。

いいですね〜(笑)。『Another Love』はFIVE NEW OLDの提供曲になりますが、いかがでしたか?

ITSUKI:めちゃくちゃ優しいです! この間ライブを観させていただいたんですけど、その時にお礼も言わせていただいて。「こちらも素敵な感じで歌ってくれて、すごく嬉しいです」というありがたい言葉もいただいて、素敵なコメントもHIROSHIさんからいただいたので、なんかもう、大きい先輩たちだな〜と。

ライブもそうですけど、とにかく音楽を愛している人たち。細部にこだわりがあるなと思ったので、この楽曲もしっかりこだわって歌っていきたいなと思います。

制作はどういう流れで?

ITSUKI:新しいジャンル感やサウンド感に挑戦したいという気持ちがあった中で、今のall at onceとはまた違うジャンルにいる方に曲を書いて欲しいと思い、チームで話し合ってFIVE NEW OLDさんにお願いをしたいとなりました。スタッフさんを通して連絡させていただいたら、快く承諾してくださいました。それからデモ音源を何個かいただいて、僕たちの声を録ってみた結果、この楽曲がいいんじゃないかとなりました。

デモを聴いた時はどうでしたか?

ITSUKI:震えましたね! FIVE NEW OLDさんはルーツがいろいろある中で、今のサウンドに洗練されている。『Another Love』を作っていく過程で歌詞の世界観やアレンジの部分を直接メンバーの皆さんと打ち合わせをするタイミングがあったんですけど、これがさらにアレンジされて僕たちの歌声とどういう融合が起きるのかとワクワクしました。

NARITO:すごく楽しかったよね。

どういうところにポイントを置いて歌唱されましたか?

ITSUKI:〈街が色褪せていくのは私の心模様〉と2Aの歌詞であるんですけど、ここは今までで一番テイクを重ねました。普段リテイクしないんですけど、この箇所はハマらなくて正解も分からず、結局40〜50回録って。そこから一度リセットしたんですよ! ジャンルも一旦忘れて、自分の好きな音楽で歌おうと思ってようやく腑に落ちた。こだわりましたし、いいテイクが録れたなと思っています! 楽曲に寄り添い過ぎていたんですよね。

NARITO:でも、めちゃくちゃいい勉強になったよね?

ITSUKI:そうだね!

NARITO:僕はデモの段階で聴いて歌った時にあまりにも自分の声がフレッシュすぎるなと思ったんです。声質的に上の帯域が強めのタイプなのでどうしても楽曲とミスマッチな部分が多くて。ただ感覚で歌うことが多いので、一旦10歳くらい歳を重ねてみようと(笑)。ここから先の10年を想像して、10年後の自分はこうなりました、はい、歌う!みたいな感じで歌いました。

哀愁感というか、大人のセクシーさがあるサウンドですよね。

NARITO:ただ、10年後想像しても今の自分が100%消えるわけではないので、10年後と今をうまい具合に配合して差し引いていくということをやりましたね。

ITSUKI:この曲はめちゃくちゃこだわっていますね。やったことないジャンル感過ぎたし、ラップパートも初めて、コーラスもいつもだったらここは積むけど、あえて積まないのがカッコいいとか、すごく考えました。だからこそ新しい発見があったし、自分たちの中に落とし込む作業がたくさんありました。

all at once節炸裂の『ストロヴェリー』

『ストロヴェリー』はまた異なる魅力のある楽曲でしたね。

ITSUKI:個人的には大好きなジャンル感だったので、ファンクの要素も残りつつブラックな部分もありつつ、これも2Aが好きですね。マイケル・ジャクソンっぽいサウンド感や声の出し方を意識したので、自分のやりたかったことが全部上手くいきました。

そして普段の僕らとは違うのは、サビが特になんですけど僕がオクターブ下のメインメロを歌っていて、NARITOがオクターブ上のメインメロでユニゾンしているんですけど、おそらく普段通りだと逆なんですよ。ちょっと変えてみようという気持ちもあったし、軽めなノリ感は残したかったので、NARITOには軽やかな声で裏声を出してほしかったので、それが普段の僕たちとは違った形で取り組めたなと思います。サウンドに関しては、僕たちがライブで培ってきたものが表現できたのかなと思います。

NARITO:僕はファルセットが本当に出なかった人だったんですよ。出し方も分からなかったんですけど、all at onceで楽曲を歌ってきて、ITSUKIのファルセットはすごく綺麗で頭から抜けるしアタッキー。羨ましいなと思っていたんですけど、僕なりにどうしたらいいかと考えて1年くらい研究をしていたんです。それが最近見つかった。『ストロヴェリー』でそれがドンピシャにハマったのでとても満足しています!

ITSUKI:練習してきた成果が発揮できた作品だと思います!

NARITO:『ストロヴェリー』はこれまでも僕たちの曲を書いてくださっているRa-Uさんと3人でノリで1曲作ろうかというところから始まっていて。その時のワクワクするテンション感みたいなのをキープしたまま今回レコーディングができたので、それが上手いこと楽曲に反映されている気がします。

最高ですね! セッション感のある作品! そういう作り方は初?

ITSUKI:初めてですね。楽しかったのはもちろんありますけど、普通のものを作ったらダメだなと思いました。自分たちの良さも意外とそこじゃないんだなと。

というと?

ITSUKI:割と王道のJ-POPサウンドを大事にしているのでいいのかなと思って作っていたりしていたんですけど、意外とそうじゃなくて細かい譜割やメロの動き、難しいことをしている方が自分たちの色が出るんだなと。

NARITO:難しかったですけどね(笑)。それぞれのビジョンがある中でどうすり合わせていくか、言語化が難しい。これは主観ですけど、音楽家って言語化が得意じゃない、だからこそ音に乗せると僕は思っているんです。その典型的なタイプが僕で(笑)。最初は絞り出して言葉にしていたんですけど、最終的には2人に頼りっぱなし。難しいことはしなくてもいいんだなと思いましたね。

ITSUKI:何を言っているんだろうと思っていましたね(笑)。

ここで恒例の質問がありまして、媒体名である、Lotusは直訳すると花の蓮という意味になります。本作を花や植物に例えるならどんなイメージになりますか?

NARITO:なんだろう! ストロベリーって植物ならない?!

ITSUKI:いやあ、一応花は咲くけど!

NARITO:難しいですね〜!

ITSUKI:僕は2曲合わせてどちらもバラだなと思っています。『Another Love』の方は、それこそ失恋もそうですけど、失恋した時に置いてある花って大体バラじゃないですか? 大事な時に使う分ダメだった時にも置かれる花だなと思うから、バラのイメージがありますね。『ストロヴェリー』は絶対どこかに刺さる曲になっていると思うので、棘を持っているバラで! 

NARITO:上手いこと言うなよ! 俺が言いづらくなるだろ!

ITSUKI:ググってもいいよ(笑)。

NARITO:脳内にパンジーしか出てきてないけど、イメージ的な話で言うと、今回のこの2曲のジャケットのイメージを僕が出させていただいたんですね。だからまさにこの色味が近くて、『Another Love』がグレーとか茶色とか、時々、深緑みたいな色。

『ストロヴェリー』は黄色。ただ元気強いものではなくて、瞬間的に咲くもの。でも、存在感はすごくある、そういう花です!

ありがとうございます! 最後になりますが、改めて本作はどういう2作品に仕上がりましたか?

ITSUKI:『Another Love』に関しては初挑戦のジャンル感、テーマとして失恋もやったことない題材ですし、女性目線もなかった。だからこそ、今まで僕たちの楽曲を聴いたことなかった人に届いてほしいなと思っています。そして『Another Love』を聴いた上で『ストロヴェリー』がTHE all at onceのサウンド感だと思うので、よりカッコいいと思ってもらえたらいいなと思っています。

NARITO:『Another Love』と『ストロヴェリー』は普段生活をする中でBGMとして耳を傾けちゃう、ちょっとだけ肩を寄せたくなっちゃうくらいの優しさと柔らかさのいい塩梅を持った楽曲たちだと思うので、どうしようもなく落ち込んでる時に不意にラジオだったりとか、街中とかで流れてきた時、なんかちょっとだけ楽になったなっていう楽曲に、皆さんにとってなったら僕たちにとっても一番嬉しいです。

TEXT 笹谷淳介

PHOTO Kei Sakuhara

リリース情報

楽曲「Another Love」配信中!
作詞:Hiroshi Nakahara
作曲:FIVE NEW OLD
編曲:FIVE NEW OLD
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楽曲「ストロヴェリー」配信中!
作詞:Ra-U, all at once
作曲:Ra-U
編曲:Ra-U
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アーティスト情報

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