【インタビュー】Lead「ニューアルバムは好きを詰め込み、わがままに遊んだ」
素敵な関係ですね。歌詞の中で1つ気になったのが、<夢は夢で終われないや>というフレーズです。どんな夢を描いて書かれたのかな?と思いました。
鍵本輝:細かいところも含めたらもう無数にあるんですけれど、やはり音楽で 活躍していきたいと思ったら目指したい場所があるんですよね。そして僕的には歌詞の中にも入れたんですけれど、<成し得ればドラマティック>が1番かっこいいなと思って。この22年間の活動の中で、いいこともそうでないこともたくさんある中で、まだ「これだ」というものを成し遂げられていないなという思いがありました。他の人から見たら、「いや十分でしょう」という人もいるんですけれど、僕たち的にはまだ叶えていなくて。
でも自分で言うのはおこがましいかもしれませんが、この22年間は地に足つけて頑張ってきたから、夢を夢で終わらせなかった時、それを成し得た時、 物語としてすごくドラマティックだろうなと思います。
おっしゃったように、このアルバムを聴くと、今のLeadはドラマティックなことを起こすパワーを感じます。
古屋敬多:それだけの歴史がありますからね。まだまだ成長できるなと思います。
ライブをやってアルバムは完成する
アルバムは他にもユニークな曲が収録されていて、いろいろお伺いしたいと思います。9曲目の『LIFE』は敬多さんが歌詞を書かれたそうですね。最初、これはかなり不思議な曲だなと感じました。軽やかなメロディにのせている歌詞は、<始まりと終わりの狭間で 折り重なる出会いと別れ いつまでも残るのは愛で>といったように抽象的な表現が多くて、受け取る側にいろいろな想像をさせます。
古屋敬多:確かに(笑)。当時の自分のテーマだったんですよね。書かれているようなことをうっすらと感じながら生きていた時というか。アルバムは挑戦をさせてもらえる場所でもあるので、素直に感じていることを 全部1回吐き出して、そのうえで形にしてみようと思いました。
鍵本輝:これはいつごろ録ったっけ?
古屋敬多:1年以上前だと思うので、去年かな。
鍵本輝:去年のわりと初めの方かも。もう1年半ぐらい前とか。
古屋敬多:そうかもしれない。僕は常に人の話をずっとスマホで聴くなどして、いろいろなところでインプットしてきて。それでちょうどその時期は価値観が変わってきた感じがしたんです。特に人生とか、生に関してですね。感覚的なことなので、なかなか言葉にするのが難しいのですが。
アルバムの中でも、かなり異色な楽曲ですよね。
古屋敬多:ライブでも流れがあるじゃないですか。その中で1番見ている人、聴いている人が素の状態というか、すごくフラットな状態の瞬間もライブ中にはあると思うんですよね。 そういうところを支えられるような存在の曲になったらいいなと思いました。
「盛り上がろうぜ」とか、「踊ろうぜ。歌おうぜ」とかもあると思うんですけれど、そうじゃない。何か生きている実感みたいなものを感じられるような曲というか。「そうだよな」みたいに確認が取れるようなナンバーになるかなと思いました。
ある意味、自分自身に問いかけるみたいな。
古屋敬多:いろいろな感じ方ができるのかなと思います。あとは意識のこととかを書いてはいるんですけれど、僕自身おばあちゃんを亡くして、夢におばあちゃんが出てきて、といった出来事が実際にありまして。
人が亡くなると意識もそこで終わり、みたいな感覚はあったんですけれど、夢に会いに来てくれたりするということは、意識はずっとあるのかな?と思って。そう考えると、悲しくない。ずっとどこかにいるんだと感じたりとか。
だから僕の中では生きてくうえで、かなり大きなポジティブな変化でした。
伸也さんはこの曲を聴いて、どのように受け止めましたか?
谷内伸也:このトラックの世界観との相性もすごく良くて。敬多はm.c.A・Tさんの影響もあって、情景を書くのが好きなイメージがあったんですけれど、今回は 結構心情にフォーカスしているというのも意外性がありましたし。
そういう意味では、また知らなかった敬多を知れた気がするし、この曲とワードの混ざり具合とかも気持ちいいです。辻村さんの作るトラック感もあると思うんですけれど、そことの相性がすごくいいなと思います。
古屋敬多:伸ちゃんが言ったように、聴いている時の気持ちよさは、伸ちゃんがやっているラップに結構、サビとか近かったかなと思いますね。
谷内伸也:ああ確かに。言葉数はそうですね。
古屋敬多:その影響があって、ちょっとラップっぽくは書いているかもしれないです。
谷内伸也:気持ちがいいよね。語尾の母音合わせたりして。
あと4曲目の『ロマンスの110番』は恋の駆け引きを遊び心いっぱいに描いた歌詞で、別の意味でかなり異色な一曲ですね。
鍵本輝:これ、気になっちゃいますよね(笑)。これまで歌詞を書くとなると、それこそ敬多が書いた『Don’t Stay』のように思いの丈を書くとか、今の自分たちに近しい世界観や心を歌うことが多いんですけども、これは完全に僕の想像で。その想像の世界を楽しんでみようと思ったんです。
それでなぜ『ロマンスの110番』にたどり着いたのかと言ったら、デモ曲を聴いて恋愛の曲を書いてみようかと思っていたところ、フレーズとフレーズの合間のところにサイレンの音が入っていたんですよ。
これはたぶん作家さんもそういったことをイメージして、曲を書いているのではないかと僕が勝手にキャッチをして。恋を追いかける人、追われる人の様子を、カーチェイスとか警察官が犯人を追い詰めていく感じで恋話にできたら面白そうだなと思い、書き始めていったんです。この曲は作っていてすごく楽しかったですね。
あと何かしらのタイアップじゃないけれど、「タイアップっぽいよね」みたいな曲とかも面白そうだなと思って。 ちょうどこの頃いろいろな話をメンバーとしていて、ありもしないアニメの作品の曲などを作っていました。
古屋敬多:本当にクリエイター気質だなと思いましたね。
鍵本輝:設定まで考えて、ありもしないアニメ作品を考えてみようと。『ロマンスの110番』は、その悪い遊びが出た曲です(笑)。
この曲はライブでだいぶ盛り上がるでしょうね。
鍵本輝:ライド感のある曲なので。それこそチェイスを振りで表現するのはちょっと難しいかもしれないですけれど、 歌詞の中に<Tom and Jerry>を入れたりもしたので、そういうところも、うまく振り付けに入れられたら面白いかなと思います。
古屋敬多:あそこはどうなるの? 歌詞の中に<「色情ホンロウ罪」>という言葉があるけれど。振りにするとどうなるんですかね?
鍵本輝:日本にない罪状を作ってしまいました(笑)。一体どうなるんですかね(笑)? 楽しみにしてください。
ところで本日取材させていただいたメディアは『Lotus』という名で、日本語で蓮という意味なんです。それにちなんで『XTLIKE』を花や植物に例えていただけますか?
鍵本輝:9月発売だし、ツアーも秋で申し訳ないんですけど、僕はひまわりだと思います。というのは、ひまわりは基本的に太陽の方にしか向かないじゃないですか。だからこのアルバムが太陽だったとしたら、それをみんなが聴いてくれるそういう1枚になったらいいなという願いを込めて、ひまわりだと思います。
皆さんの「好き」を満たした、バラエティ豊かなこのアルバムを届けるツアー『Lead Upturn 2024~XTLIKE~』が10月に大阪・東京で行われます。
谷内伸也:久しぶりに新譜が多いライブになるので、その分、作る時間もかなりかかるとは思うんですけれど、楽しみですね。1つのライブでLeadのまた新たな面を見てもらえるから、お客さんのリアクションも気になります。
そしてやはりライブは参加してくれる方がいて、声を出してくれたり踊ったり、そういうのを含めて初めて完成します。だからこのアルバムの本当の意味での完成は、10月なのかなと思っています。
ファンの方々もアルバムの世界がどのように目の前で展開されるのか、すごく楽しみだと思います。この作品が完成して、皆さんの今の気持ちを伺えますか?
古屋敬多:今まで出させてもらったアルバムの中でも、自分たちが携わることによって 1曲1曲それぞれの思いがより深く強くなって。そんな曲が集まったアルバムになったと思います。1人でも多くの人に、このアルバムを届けたいです。
アルバムを引っさげるツアーは大好きですね。今回はびっくり箱のようなツアーにしたいです。特にこのツアーはいろいろな人に見てほしいので、もし追加公演とかあれば嬉しいですね!
TEXT キャベトンコ
PHOTO Kei Sakuhara