ゲスの極み乙女が待望のニューアルバム「ディスコの卵」をリリース。4年ぶりの本作は“踊る”ことにフォーカスした名盤だ
ゲスの極み乙女なりの解釈で生み出された新たなダンスミュージックに酔いしれる
ゲスの極み乙女が前作『ストリーミング、CD、レコード』から約4年振りとなるフルアルバム『ディスコの卵』を完成させた。4年ぶりということもあり、待望のアルバムと言って差し支えないが、ワンマンツアー「ナイトクラビング」の開催の発表もあり、ファンからすると2倍嬉しいトピックと言える。
本作は、メジャーデビュー10周年となるアニバーサリーイヤーを飾る6枚目のアルバム。タイトル冠した“ディスコの卵”の通り、ダンサブルな様相を呈する楽曲が多く内包されるが、ただ単に踊ることにフォーカスしたものではなく、もっと内から出る感情にフォーカスしたように思える。ゲスの極み乙女なりの解釈、ダンスフロアを沸かせるのではなく、感情を踊らせると言うのか、ソウルフルに心を躍らせるサウンドの数々からゲスの極み乙女の新しい一面と、一切ブレることのないバンドの根幹にあるものの両方を感じることができるのだ。
スキルフルでありながらも、どこか気の抜けた“大人の余裕”を感じる楽曲の数々。10周年を迎えて、バンド新たなモードに突入しギアを入れ替えたような仕上がり。ちゃんMARIとのツインボーカルでポップに展開する「Funky Night」で幕を開け、〈レビレビアーヤ〉と不思議な語感で音楽体験へ誘う「ゴーストディスコ」、作業BGMにはオシャレすぎる本アルバムのブリッジ的存在の「作業用ディスコ」と「作業用BGM」では洗練されたビートと鍵盤が鳴り響く。その他、バラエティに富んだ全14曲を聴き終えて思うことはただ一つ。ゲスの極み乙女はやはり唯一無二のバンドということ。
川谷絵音という気代のマエストロとその才能に呼応する、休日課長、ちゃんMARI、ほないこかの3人。それぞれがあらゆるフィールドで活躍しながら、ゲスの極み乙女というホームに帰ってくるここまでの強度を増し増しの音楽を生み出すことができる。
7月4日、札幌ペニーレーンから口火を切るワンマンツアーで彼らがどんな音を掻き鳴らすのか。まずは本作『ディスコの卵』を反芻して、彼らのさらなる魅力に寄り添ってみてはいかがだろうか。
TEXT 笹谷淳介
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