運要素で勝つか、戦略を生かすか

2025年10月8日、「Brave × Junction（ブレイブジャンクション）」がリリースされた。本作はブラックジャックのルールを戦闘に落とし込んだファンタジーRPGだ。ダンジョンを進む冒険の中で、プレイヤーはファイター、シーフ、マジシャンという仲間から選び、それぞれのスタイルで戦略を展開する。運要素で勝つか、戦略を生かすか、奥深い駆け引きが楽しめそうだ。

モンスターとの勝負は1対1のターン制。ルールはシンプルながらも、戦闘には時間制限があり緊張感が増す。画面左上のタイムバーが尽きると、使えるのは「攻撃」のみ。勝負に入るまでの準備段階で、カードを引くか防御するかといった素早い判断が迫られる。モンスターはディーラーのように1枚の手札を伏せており、21に近い手札を作った側が攻撃権を得る。限られた時間での判断力が勝敗を左右するだろう。

ただし、本作では21だけでなく、モンスターによって上限が異なっているので、相手の情報を的確に読み解くことが勝敗のカギを握る。

また、プレイヤーキャラクターのカードを引ける回数は基本的に2枚までだが、装備品に付与する効果で増やすことも可能。装備の合成や成長カードによる強化も用意され、冒険を通じて戦術の幅が広がる。

さらに、物語が進むと一時的にカードを保留できる「ストック枠」が解放される。敵のドロー回数や見せ札を見極めながら、臨機応変に戦いを組み立てる戦略性が楽しめるだろう。

ダイクロンで冒険者としての新たな人生を歩み出す

続いて、世界観について紹介しよう。

「ある日『封印の祠』で目覚めた一人の女戦士。

祠は長い時の流れで荒廃し、魔物の住処と化していた。

魔物を撃退しながら地上を目指す女戦士は、スカーフェイスと名乗る謎の男と出会う。

彼の案内で採掘都市ダイクロンにたどり着いた女戦士。

自身の使命であった『魔王討伐』が百年前に終わっていたことを告げられる。

使命を失った女戦士は、ダイクロンで冒険者としての新たな人生を歩み出す――」 物語は、封印の祠で眠っていた女戦士・ファイターの覚醒から始まる。本来の目的である魔王討伐が過去の出来事だという事実に衝撃を受けつつ、新たな生き方を模索する。彼女の持つ「四聖宝」のひとつ〈ダイヤの盾〉について詳しい説明はないが、その存在は世界の謎に深く関わると考えられる。魔王を倒すためとはいえ、なぜ彼女はわざわざ封印される必要があったのか、なぜ魔王討伐の後に目を覚ましたのか。人類を脅かす象徴的な存在が消えているという導入も含めて、定番RPGにはない魅力だ。

仲間のシーフは、ファイターと似た境遇ながら記憶を失っている。意図的な記憶の封印や因縁の抹消を思わせる設定であり、こちらも「四聖宝」〈スペードのナイフ〉を持っていることから、深い関係があるのは間違いないだろう。

マジシャンは、勇者と共に魔王と戦った伝説の魔術師の血を継ぐ者。彼女は〈クラブのロッド〉を受け継いでおり、その運命の理由を探しているという。勇者一行の遺産とされるアイテムである以上、魔王と深く関わる事情がありそうだ。また、討伐を果たせなかったファイターと、魔王と対峙した血脈を継ぐマジシャンの対比も、物語を彩る要素となっている。

そして、ファイターを導くスカーフェイスは、無頼を気取りつつも人望が厚い謎多き男だ。祠で目覚めた彼女の前に現れる絶妙なタイミングや、只者ではない雰囲気は、物語の背後に潜む秘密と深く関わっているように感じられる。

ここまで来ると、「四聖宝」がトランプのスートと対応していることに気づく人も多いだろう。残されたハートの「四聖宝」を誰が持つのか。そして、全てが揃ったときに何が起こるのか、その行方も気になるところだ。

誰もが知るブラックジャックを軸にしたバトルは、シンプルながらも駆け引きが熱く、物語を盛り上げる仕掛けとしても魅力的だ。また、多彩な背景を抱えるキャラクターたちと、散りばめられた謎がどのように収束していくのか、その結末は、ぜひ自らのプレイで確かめてほしい。

TEXT　東響希

作品情報

タイトル Brave × Junction
プラットフォーム PlayStation4/PlayStation5 ダウンロード専用
ジャンル ブラックジャックRPG
価格 1500円(税抜き)

ーSTORYー

ある日『封印の祠』で目覚めた一人の女戦士。
祠は長い時の流れで荒廃し、魔物の住処と化していた。
魔物を撃退しながら地上を目指す女戦士は
スカーフェイスと名乗る謎の男と出会う。
彼の案内で採掘都市ダイクロンにたどり着いた女戦士。
自身の使命であった「魔王討伐」が
百年前に終わっていたことを告げられる。
使命を失った女戦士は、ダイクロンで冒険者としての
新たな人生を歩み出す――

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