インタビュー

【インタビュー】「四月は君の嘘」が待望の再演! 主演・東島 京が魅力を語る

【インタビュー】「四月は君の嘘」が待望の再演! 主演・東島 京が魅力を語る

原作漫画はもとよりTVアニメ化、実写映画化も軒並み大ヒットを記録し、国内外に多くのファンを持つ青春ラブストーリーの傑作『四月は君の嘘』。遡ること3年前にミュージカルとして上演され、絶賛を博した舞台が今年8月に再び蘇る。Wキャストによって再演される待望の今作、主演のひとりとして選ばれたのは、東島 京(ひがしじま みさと)。2021年に日英合作ミュージカル『GALAXY TRAIN』で初舞台を踏んで以来、主演を含む主要キャストとして数々の舞台作品に出演、今、ミュージカル界から熱い注目を集めている期待の新星だ。今回のインタビューが行われたのも彼が主人公の親友役を好演したミュージカル『チョコレート・アンダーグラウンド』の大千穐楽翌日。演技のみならず歌、ピアノ、ダンス、サッカーと多彩な才能を持ちながらも、目指しているのはミュージカルスターだとまっすぐな瞳で言い切る彼に『四月は君の嘘』という作品から舞台そのものの魅力に至るまでじっくり語ってもらった。

僕は結構引きずるタイプです(笑)

昨日、ミュージカル『チョコレート・アンダーグラウンド』の大千穐楽を迎えられたばかりとのこと、本当にお疲れさまでした。

東島 京:ありがとうございます。富山で無事最終公演を終えてきました。やっぱり最後となると寂しさもあって、セリフの一つひとつにもより想いを込めようとするんです。きっと僕も含めて全員が熱のこもったお芝居をしていたと思います。

まだ余韻も残るなか、今回お話を伺う次のミュージカル作品『四月は君の嘘』へと向かわれるわけですが、気持ちの切り替えはすぐできるほうですか。

東島 京:僕は結構引きずってしまうタイプです。舞台って、キャストと演出家と全員で意見を出し合いながら、積み上げては壊し、そこからまた積み上げてという作業を1ヵ月、2ヵ月と重ねて作っていくんです。でも大千穐楽の次の日にはすべてがまっさらになってしまう。そのたびにすごく寂しいですし、儚さも感じますし、そうなると僕はもう病むほどに引きずってしまうんです(笑)。でも、完全になくなるわけではなくて、自分のなかにも、観てくださったお客様のなかにも、その作品を通じて受け取った何かがきっと残ると思うんですよね。それを心の引き出しのなかに大事にしまっておいてもらえたら、その作品はきっと生き続けるだろうし、そう思うことでこれは作品との別れじゃない、またどこかで会えるかもしれないっていう希望にもなるんです。なので、寂しさは抱えつつも、どこか温かい気持ちで次の出会いに向かっていくような、不思議な感覚ですね、今は。

初恋の片想いをしている感覚

今回の『四月は君の嘘』も3年ぶりの再演ですし、まさに生き続けてきた作品のひとつと言えるかもしれません。今回、東島さんは主人公・有馬公生役を演じられますが、聞いた話によれば、最初は違う役でオーディションを受けられたそうで。

東島 京:はい。公生の友人である渡 亮太役で最初は受けさせていただいたんです。オーディションでは渡の楽曲を歌って、そのあと渡という役について、僕の学生時代の過ごし方を交えながら話していたときに、演出の上田一豪さんが「京くん、楽譜読める?」とおっしゃって。僕はピアノも弾くので「読めます」と答えたら「ちょっとこれを歌ってみて」って譜面を渡されて、それが有馬公生の楽曲だったんです。

歌い終えて、上田さんから「歌ってみて、正直どっちが気持ちよかった?」って聞かれたんですけど……この『四月は君の嘘』という作品は僕、原作もアニメも大好きなんです。個人的には公生にも渡にもそれぞれ共感するところがありつつ、公生のほうにより重なる部分を感じていて。それで「公生くんのほうが気持ちよかったです」って正直に答えたら、その瞬間に上田さんが「やっぱりそうだよね。そうだと思った!」っておっしゃったんです。この日はそこでオーディションは終わりましたが、ありがたいことに今度は公生役として歌を聴きたいと、数か月後に再度オーディションに呼んでいただいたんです。

うわ、すごく気になる状況ですね。

東島 京:でも、それから長い間、音沙汰がなかったんです。ダメだったのかな、落ちちゃったのかなって思いながら、毎日のようにマネージャーさんに「結果はきましたか?」って聞いていたんですが、「まだ何もないよ」「ああ、そうですか」っていう日々が続いて。きっとダメだったんだろうなと思いつつ、ついつい自分がステージに立って歌っているところを想像しちゃってまた苦しくなったり……なんていうんでしょう? まるで初恋の片想いをしているような感覚でずっと過ごしていたんです。そうしたらある日、マネージャーさんから電話がかかってきたんです。「心の準備はいい?」「はい」「有馬公生役に決まりました」って。その瞬間、勝手に涙があふれてきて……ずっと締めつけられていたものがフッと解けて、霧が晴れたような、それこそ初恋が実ったような感覚になったのを覚えています。同時に、自分が本当に演じるんだな、大丈夫だろうかっていうプレッシャーにも襲われました。

自分にも役にも正直に向き合えばいい

有馬公生役を射止めた喜びと重み、どちらも相当に大きかったと思います。

東島 京:当初はプレッシャーも不安もすごかったです。自分が座長で大丈夫かなとか、しっかりしなきゃとか、稽古場でどう振る舞えばいいのかとか、いろいろ考えて悩んでいたんですが、ちょうどその頃に事務所の先輩である小関裕太さんと水田航生さんにお話しさせてもらう機会をいただいて。お二方は3年前、初演の『四月は君の嘘』に出演していらっしゃって、お話したときに「無理に座長らしくしなくていいよ」ってアドバイスをくださったんです。「座長としてちゃんとしてなきゃとか立派な背中を見せなきゃとか、そういうことは考えなくていい。自分のまま、真摯に役に向き合えばいいんだよ」って。結局、自分は自分でしかないし、自分じゃない何かになろうとしても、僕はわかりやすい人間なのできっとバレてしまうから、とにかく自分にも役にも正直に、自分ができる精一杯で向き合ったらそれでいいんだって言っていただけた気がして、そこで少し気が楽になったんですよね。それと同じくらい、いい方向に気持ちが引き締まったというか、背筋が伸びるような感覚にもなれました。

小関さん、水田さんが出演された初演の『四月は君の嘘』もご覧になられているんですよね。原作もアニメも好きな東島さんの目にミュージカル化はどう映りましたか。

東島 京:まず、リアルにそこにあるという嬉しさです。『四月は君の嘘』の世界が実体を伴って目の前にあるという喜びに加えて、やっぱり自分はあの空気感や、あの綺麗な色合いが大好きだなって再認識しました。音楽にしても、クラシックと、ミュージカル界の巨匠と呼ばれるフランク・ワイルドホーンさんが手がけられた現代的なポップミュージックとの融合っていうのは、もはや革命に感じました。すべてにおいてピースが見事にハマりすぎていて、それに対する衝撃もとても大きくて。水と油くらい違うジャンルが一つになったわけですから、それはもう凄まじい感動がありました。とにかく美しかったです。

主人公に「君でよかった」と言われたい

その世界を今度は東島さんご自身が体現していかれるんですね。先ほど、共感する部分がたくさんあるとおっしゃっていましたが、主人公・有馬公生と東島さんの共通する部分って例えばどんなところですか。

東島 京:子供の頃からサッカーやピアノ、歌など、いろんなことをやっていたんですが、基本的な動機として、誰かに笑顔になってほしいからっていうのが大きかったんです。「これをやったらこの人は喜ぶかな?」っていうところがスタートになることが多くて、それって公生も同じなんじゃないかなと思うんです。彼がピアノを始めたのも母親とのつながりをもっと感じたかったからだと思いますし。

実は以前、音楽のことやピアノ、ミュージカルに関するいろんなことを教えてくださった僕にとっての師匠だった方が亡くなってしまって。その時は、自分の見る世界がモノトーンになりました。

誰かと親しくなってもいつかいなくなってしまうかもしれないと思うとなかなか人と話せなかったり、そんな日々が続いて。きっと公生も、母親と自分を繋いでいたはずのピアノが自分から大切なものを遠ざけるものに変わってしまったから、あんなふうに自分の心の奥深くに閉じこもってしまったんだと思いますし、その気持ちが痛いほどわかるんです。でもある日、僕は自分の音楽のなかに先生がいるって気づけた瞬間があったんです、自分の歌のなかにもピアノのなかにもちゃんと生き続けているって。それは公生も同じはずなんですよね。その人が残してくれたものは自分のなかにずっと生き続けるんだって気づいた瞬間に、僕の世界も公生の世界もカラフルに色づいていったような気がして。なので、その温かさや勇気みたいなものを観てくださる皆様に届けられたらなと思うんです。そして千穐楽を迎えたときに、公生から「(僕を演じたのが)君でよかった」って言ってもらえたらって。そういう向き合い方をしていきたいと今は思っています。

今という一瞬一瞬がこの作品の魅力

ますます東島さんの公生が楽しみになってきました。一方で、今回はWキャストということで、岡宮来夢さんも有馬公生役を演じられるんですよね。

東島 京:そうなんです。きっと真逆な公生になるんじゃないかなとさえ思っていて(笑)。来夢さんが出演された作品はもちろん拝見していて、本当に舞台上で演じる姿はすごく光り輝いていますし、まさに“ザ・主人公”という感じで、主演がとても似合う方だと思うんですよね。なので、どういうアプローチで公生を作り上げていかれるのかとても興味がありますし、僕とは全然違った視点を与えてくださるんだろうなとも思っているので、たくさんおんぶに抱っこしてもらいながら(笑)、一緒にいい影響を与え合えたら嬉しいです。

ずばり『四月は君の嘘』という作品のいちばんの魅力とは?

東島 京:なんだろう……“今”っていうことじゃないかなと思います。青春っていう若者だけに与えられた時間を、みんなが精一杯生きていて、悩みながらも必死で前に進もうとするその姿、その空気に惹かれずにはいられないんですよね。年齢も性別も関係なく、今という瞬間がどれだけ光り輝いているか、どれだけ大切かっていうことを教えてくれる作品だと思っているので、本当に一瞬一瞬が魅力なんです。どんなことも失ってから気づくことのほうが多いじゃないですか。だから難しいとは思いますが、その一瞬一瞬がどれだけ美しいか、そのときに気づけたら幸せだろうなって思うんです。たぶん僕が感じている以上に、僕より大人の方々のほうが、この“今”という瞬間の価値を理解されていると思うので、自分もできるだけそのことを実感しながら過ごしていけたらいいなって。

夢の芽生えは『ライオンキング』

ここからは少し、東島さんご自身のことについても伺わせてください。そもそも東島さんが俳優という職業、ミュージカルを志そうと思ったきっかけを教えていただけますか。

東島 京:もともと僕の家族が映画を観るのが大好きで、毎週金曜日にみんなで寝転がって映画を観る“ムービーナイト”っていう家庭行事があったんです。なので自然と演技には興味を持っていたんだと思うんです。でも決定的だったのは、小学生の頃に観た劇団四季の『ライオンキング』です。母はミュージカルを観るのが特に好きで。当時はまだミュージカルがどんなものかもちゃんと理解できていなかったのですが、さまざまな動物たちが客席から舞台上に歩いて上がっていったときにブワッとサバンナの世界に変わったんですよね。その瞬間に「ああ、僕、これがやりたい」って思ったんです。

運命的な出会いを果たしたんですね。ということは、実際にお芝居を始めるのも早かった?

東島 京:小学1年生のときからサッカーをやっていたこともあって、なかなかそっちにはいけなかったんです。父がサッカーをやっていて、やったら喜んでくれるかなという動機で始めたのですが、そこまで夢中にはなれなくて、でもやめるきっかけもなかなか見つからなくて。それでも心のどこかではずっと「僕はこれ(ミュージカル)をやるんだ」って思っていたんです。それで、中学1年生になったときにサッカーをやめると決めて、実は音楽がやりたいんだって母に話したら「じゃあボーカル&ダンススクールがあるから行ってみなよ」って勧めてくれたんです。そこで歌もダンスもお芝居も習ううちに「これ、全部やりたいな」と思うようになって「ミュージカルだったら全部できるじゃん!」と気づいて。そこでちゃんとミュージカルの道に進もうと覚悟を決めたんです。

小学生の頃に漠然と芽生えた夢が徐々に実体を伴っていったんですね。お話からすると最初は音楽に興味があったようですが。

東島 京:そうですね。小さい頃から歌うのが大好きだったんです。すっごい音痴だったんですけど(笑)。でも歌うことがすごく好きで、いつでもどこでも下校中でもなりふり構わず歌っていたら、周りの方から少しずつ「素敵な声だね」って言っていただく機会が増えて。まさに“好きこそ物の上手なれ”を体現した感じなんです(笑)。

とにかくこの世界に沼っています

ミュージカルは楽しいですか。

東島 京:楽しいです! お稽古の段階ではすごく苦しいし、孤独だし、素晴らしい方々とご一緒させていただくたびに自分のダメさを痛感して挫折しそうになるのを繰り返していますが、それでも好きだっていうことが自分の心の支えになっていて。好きだからこそたくさんのものを吸収できているし、ここまで歩んでこれたとも思うんですよね。どんなに苦しくても、本番の舞台に立って、お客様の誰かに届いたと実感できた瞬間に全部チャラになるくらい幸せな気持ちになれますから。その瞬間があるから、役者はみんな舞台に立ち続けるんじゃないかなって思います。

とにかく初めて観たときから、僕はこの世界に沼っていますので(笑)。子供だった僕に夢が芽生えたように、いつか僕も自分の舞台で誰かの心に夢が芽生える瞬間に立ち会えたら、そんな素敵なことはないですよね。

今、東島さんが目指している、いちばん近い目標はなんでしょう。

東島 京:近い目標ではないですが・・・目指しているのはミュージカルスターです! そのためにも、出会いを大切にしながら、いただいた役には正直に向き合って、自分自身のまま誠実にいい作品作りに携われるよう精進することが、これからの自分に繋がっていくと信じていますし、それが自分の夢を叶えるいちばんの近道だなと思っています。あと、作詞作曲をするのが好きなので、自分自身の曲もいつか世に出したいですし、もしも自分の曲がミュージカルで流れたら最高すぎます。そんな日がきっと来るように願いながら、毎日を必死に積み重ねていきたいなと思っています。

最後の質問ですが、当サイト名の“Lotus(=蓮の花)” にちなみまして、東島さんが出演される『四月は君の嘘』という舞台を花や植物にたとえていただけますでしょうか。

東島 京:花でいえば絶対的に桜だと思うんです。桜って咲いている期間を考えたら短い生涯かもしれないけど、花が散ってしまってもそれは終わりではなくて、次に芽吹くための準備だと思うんですよね。公生にとって(相手役の)宮園かをりとの出来事は桜が咲いて散るまでの短い期間のように思えるかもしれないけど、でも、それは公生の花を咲かせるための、公生の背中を押すための勇気のような気がしていて。この先、公生が桜を見たときに、きっと寂しさも感じるだろうけど、それ以上に温かい気持ちになるんじゃないかなとも思います。

TEXT 本間夕子
PHOTO Kei Sakuhara

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【応募締め切り】
締め切り:8月8日(金)23時59分

たくさんのご応募お待ちしております!

ミュージカル「四月は君の嘘」情報

公演スケジュール
2025年8月23日(土)〜9月5日(金)
東京都 昭和女子大学 人見記念講堂

2025年9月12日(金)〜14日(日)
愛知県 Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

2025年9月19日(金)・20日(土)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール

2025年10月4日(土)・5日(日)
富山県 オーバード・ホール

2025年10月12日(日)・13日(月・祝)
神奈川県 厚木市文化会館 大ホール

スタッフ
原作:新川直司(講談社「月刊少年マガジン」)
脚本:坂口理子
作詞・作曲:フランク・ワイルドホーン
作詞:トレイシー・ミラー / カーリー・ロビン・グリーン
編曲:ジェイソン・ハウランド
訳詞・演出:上田一豪

出演
有馬公生:岡宮来夢 / 東島京
宮園かをり:加藤梨里香 / 宮本佳林
澤部椿:希水しお / 山本咲希
渡亮太:吉原雅斗 / 島太星
かをりの父:原慎一郎
かをりの母:鈴木結加里
審査員:武内耕 / 三木麻衣子
相座武士:内海大輔
井川絵見:飯塚萌木
池田航汰 / 大森未来衣 / 相樂和希 / 桜井咲希 / 佐藤志有 / 新條月渚 / 須田拓未 /
千歳ふみ / 千葉海音 / 鳥居留圭 / 中野太一 / 東倫太朗 / 深澤悠斗 / 町田睦季 /
松村桜李 / 吉岡花絵 / 渡辺七海

▷チケット情報は公式サイトへ

東島京情報

2005年生まれ、大阪府出身。日本語と英語のバイリンガル。
2021年に日英合作ミュージカル「GALAXY TRAIN」にカムパネルラ役で初舞台を踏み、役者活動を開始。2023年3月には同作がイギリス・ウエストエンドにて「GALAXY TRAIN-A New Musical」として全編英語で上演され、ロンドン現地キャストとともに出演を果たした。その後2023年12月にミュージカル「春のめざめ」ではメルヒオール役として初主演、2024年2・3月に舞台「最高の家出」では初めてストレートプレイに挑戦、2024年7月期フジテレビ系木曜劇場「ギークス~警察署の変人たち~」に基山文太役として初ドラマ出演した。近年の出演作品としてミュージカル「チョコレート・アンダーグラウンド」、「ワイルド・グレイ」、「SONG WRITERS」、柚希礼音 25th Anniversary「REON JACK5」などがある。そして今年8~10月上演のミュージカル「四月は君の噓」にて主演・有馬公生役の出演が控える。

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