【インタビュー】三浦獠太、初主演映画「フェイクアウト!」を共演の浅川梨奈と語る

大金を生み出すという夢のような“AIプログラム”を巡って巻き起こる熾烈な騙し合いのバトル。二重にも三重にも張り巡らされた謎に、気づけば観る者もまるで登場人物の一員になったかのように引き込まれ、主人公と一緒に振り回され、揺さぶられること間違いなしの新たなクライムエンターテインメントムービー『フェイクアウト!』が全国公開される。スリルの先に待ち受ける痛快なカタルシス、シリアスながらも随所に散りばめられたコミカルなニュアンスも小気味よい今作において映画初主演を務める三浦獠太、そして物語の鍵として重要な役割を担う浅川梨奈の両名にインタビューを敢行! ネタバレ厳禁の間隙を縫いつつ、あれこれ語ってもらった『フェイクアウト!』の魅力をさっそくお届けしたい。
主演なのに主演っぽくないのが僕らしい
今作のオファーを受けたときはどんなお気持ちでしたか。

三浦獠太:展開がかなり入り組んだお話なので、最初に台本を読んだときは一発じゃ理解できなかったんです。でも何回も読み込んでいくうちに「ああ、こうなるんだ!」って腑に落ちたんですけど、今度は、これを映像でどうやって伝えていくんだろうっていう素直な疑問が浮かんできて(笑)。でも、そこは監督に任せて僕は自分に与えられた高島誠人という役をしっかり生きよう、と思い撮影に臨みました。
三浦さんは今作が映画初主演になられるんですよね。
三浦獠太:はい。でも主演ではあるんですけど、全然主演っぽくないんですよ(笑)。
たしかに、いわゆるヒーローっぽさはないかもしれないです。
三浦獠太:そうなんですよね。僕のイメージする主演はもっとかっこいい役なんですけど、高島は正直言ってダサいんです(笑)。でも、そういうところが自分らしいのかなって思ったので、僕なりに高島の正義を一生懸命、演じようと思っていました。
実際、ご自身と重なる部分もありました?
三浦獠太:そうですね。あんまり重なりたくはないんですけど(笑)、同じ状況に陥ったら、たぶん自分もこうなるだろうなって。客観的に観れば「頼りないな」って思われるでしょうけど、でも、たぶん人間ってそんなに上手くは立ち回れないじゃないですか。実際にそうなってみなきゃ本当のところはわからないけど、今回、フィクションとしてその状況を体感しながら、きっと自分もこうなってしまうんだろうなと想像して演じました。
ということは、他の誰かになりきるというよりは、ご本人のなかにあるものを引き出しながら演じるというような感覚でしょうか。
三浦獠太:とはいえ、役を演じるときはあまり自分自身と比べるようなことはしないんです。むしろ、どの役も本来自分のなかにあるものでしかできないと僕は思っています。
病院でロリータ服の戸惑い
浅川さんはいかがでしたか、最初にこのお話をお受けになったときは。

浅川梨奈:「まず、どうしてロリータ服なんだろう?」っていう戸惑いが大きすぎました(笑)。最初にマネージャーさんから「浅川はロリータ服を着ます」って聞いたので、その「ロリータ(服)」っていう言葉のインパクトから先に進めなかったんですよ。どれだけ脚本を読んでもロリータの要素が想像つかなかったので。(笑)
ちょっとイヤだな〜的なニュアンスが含まれてます?
浅川梨奈:ちょっとだけ不安でした。(一同爆笑)。病院でロリータ服なんて想像できなかったですもん (笑)。きっと監督はギャップを描きたかったんだろうなと思いました。とにかくこだわってくださり、衣装合わせでもパニエの種類とか、めっちゃフィッティングしましたから(笑)。
三浦さんはロリータ服の浅川さんを前にして何を思いながら演じていらしたんでしょう。
三浦獠太:この映画の撮影ではロリータ服姿の浅川さんにしか会っていないので、そういう(役の)人なんだなって普通に思っていました。今日、この取材で初めて違う格好をされているのを見たぐらい(笑)。でもすごく似合っていたので、全然違和感はなかったですね。正直、最初は「病室なのになんだか変わった女性がいるな」っていう感じはありましたけど、自分のなかではわりとすぐ溶け込んだので。
浅川梨奈:たぶん溶け込んでいなかったのは本人だけかもしれません(笑)。
こんなに笑う方だと今日知りました
ところでお二人、これまでにご共演は?

三浦獠太:今回が初めてです。作品が一緒だったことはあるんですけど(映画『赤羽骨子のボディガード』)共演シーンっていうのはなかったので。
浅川梨奈:でも3時間しかご一緒していないんですよ。実はいちばん最初のシーン以外、同じ場面の撮影がなくて。
三浦獠太:だから今日がいちばん喋っています(笑)。
浅川梨奈:思っていたより笑う方なんですね。
三浦獠太:そうですか?
浅川梨奈:三浦さんの演じられた高島がそこまで明るい役柄でもなかったですし、私がお会いしたときにはすでに三浦さんは現場に入っていて、すごく集中していらっしゃったんですよ。なので、ストイックに役柄に入り込むタイプの俳優さんなんだなって思っていたんですけど、今日こうして喋ってみたら結構、笑うんだなって。
三浦獠太:笑いますよ〜(笑)。
浅川梨奈:あと、すごくやさしい方だなとも思いましたね。
三浦獠太:たぶん現場では単に人見知りを発揮していただけだと思うんですけど、集中している感じに見えてよかった(笑)。浅川さんこそ現場ではずっと凛とされていて、全然疲れた様子も見せていなかったんですよ。さっき別の取材で、裏では疲れていたっていうお話をされていましたけど、人前ではそんな姿を見せないプロ意識の高い方だなと思っていました。だから今日こうしてお話をして、僕も浅川さんってこんなに笑ってくれる方なんだなって。
ガオレンジャーが紡いだ縁
三浦さんと監督の堀江 慶さんは別の作品の現場で偶然出会って意気投合されたそうですね。そこから今回に繋がっていったのだと思いますが、そのあたりの経緯をもう少し詳しくお聞きしてもいいですか。

三浦獠太:僕が参加していた現場に監督がヘルプでいらっしゃっていたんですよ。実は監督、『ガオレンジャー』のガオイエローをやっていらした方で。風貌はだいぶ変わられていましたけど、僕はガオレンジャー世代なので、なんか似ているなって思ったんです。それで「ガオイエローですか?」って聞いたら「そうです」ってまんざらでもない顔をされたんですよ(笑)。それが監督には刺さったっぽくて。お芝居がどうとか映画の話で盛り上がったというわけでは全然なく、僕がガオイエローに気づいたのをきっかけに仲良くなりました。
でも、とても素敵なエピソードです。
三浦獠太:はい。僕のなかではすごくエモかったです。小さい頃からのヒーローに出会えて、かなり興奮しました。
主演するにあたって、監督から何かオーダーはあったのでしょうか。
三浦獠太:それはあんまりなかったです。むしろ「そのままで」と言われて、「“そのまま”ってなんでしょう?」みたいな(笑)。
浅川梨奈:ふふっ(笑)。
三浦獠太:監督とは交流がもともとあったので、撮影が始まる前から連絡を取り合っていましたし、細かくディスカッションしながらやれたと思います。撮影中もお互いの細かいニュアンスの違いとかを正していこうって話し合う時間を取ってくださったりもしました。ただ、お互い知っているがゆえに気を遣う瞬間もあったとは思うんです。なので、事前に遠慮なくなんでも言ってくださいとはお伝えしていました。
撮影期間は11日間!
浅川さんは監督とのやり取りで印象に残っていることはありますか。

浅川梨奈:私がわりと自由奔放に演じるタイプなのですが、気付いたことは聞いてくださったり確認させていただいたりはしていました。
撮影期間が短かったのであっという間で、気づいたら出来あがっていたという感じで(笑)。
ちなみに撮影期間はどれくらい?
三浦獠太:全部で11日間ぐらいです。本当に短かったので、ものすごく詰め込んで撮影していました。だから大変だった印象しかないんですよ(笑)。夜のシーンが多かったこともあって、遅い時間からスタートして朝日を見ながら帰るとか、かなり体力勝負なところもありました。
浅川梨奈:夜中の1時入りとか言っている方もいましたよね(笑)。撮影の半分がナイターでしたから。
三浦獠太:体内時計が狂ってしまって、ワケわかんなかったです(笑)。
そうしたワケのわからなさも、もしかするとこの映画の混沌とした魅力の一助になっているのかもしれないですね。
三浦獠太:それはありますね。リアルな疲労感は何かしら作用していると思うので、結果としてよかったんじゃないかなって。スタッフの方々はじめ、本当にみなさん大変な現場だったと思います。
借金取りとの新鮮な関係性
撮影中の特に印象的なシーンについても、ぜひお伺いしたいのですが……。
浅川梨奈:私は言えないんですよ。役柄的に何がネタバレに繋がるかわからないので。
三浦獠太:浅川さんは特にそうですよね。僕も今、うっかり口を滑らせそうになったけど浅川さんの言葉で我に返りました(笑)。でも予告映像にも使われているNON STYLEの石田さんとのシーンは楽しかったですね。石田さんは借金取りの役なのですが、高島との関係性ではどこかちょっと仲良さそうでもあるんですよ。意外と彼女の話をしてたりとか、取り立てる側と取られる側の距離感が絶妙で、自分のなかでもすごく新鮮で面白かったです。
新鮮?
三浦獠太:例えば漫画とか他の作品とかのイメージだと、「おい! 金返せよ!」ドンドンドン!(ドアを叩く仕草)みたいな感じじゃないですか。でも、この作品で石田さんが演じているのは、借金取りなんだけど地元のちょっとヤンチャな兄ちゃんの延長線上みたいな雰囲気もあって、お互いの距離を保ちながら接し合っている感じがして。そのへんの絶妙なバランスは、現場でも監督を含めて3人で結構、話し合ったんですけど、逆にリアルになったのかなとも思いました。石田さんご本人が面白い方なので、一緒にお芝居をするのが純粋に楽しかったというのも大きいですけど。
不器用で、頼りなくて、でも一生懸命
完成した作品をご覧になっての感想はいかがでしょう。

三浦獠太:脚本を読んでいたときから「浅川さんの役、かっこいいな」って思っていたんですけど、映像になったらもっとかっこよくなっていたので、ますますジェラシーで(笑)。浅川さんがかっこいいぶん、余計に高島のポンコツさが際立つんですよ。もちろん、それがこの物語としてはよかったと思っているんですけどね。とにかくシンプルに「浅川さん、カッケー!」って思いながら観ていました。
浅川梨奈:私は三浦さんの高島がかわいいなって思いながら観ていましたよ。すごく不器用で、頼りなくて、でも一生懸命なところや、頑張るけどやっぱりダメなところも含めて、観る人の母性みたいな部分をくすぐるような役柄に作り上げていらっしゃったのがすごく面白かったです。高島という役が三浦さんによってこういうふうに肉付けされていくのかと思って。
もしもお二人がこの映画と同じ状況、いきなり巨額の借金を背負わされて急な返済を迫られる立場になったらどうします?
浅川梨奈:私は何も気にしないかも。借金取りが現れても「人違いです」とか「ちょっと私じゃわからないので、弁護士通してもらっていいですか」とか言ってみるかもしれません。「一回、警察呼びましょうか」とか。
三浦獠太:お〜、大人だ。
浅川梨奈:たぶんパニックにはならないと思います。むしろ、すっごい冷静に「借用書なり何なりを弁護士に通して一度、こちらに提出してください。そのうえで対応いたしますので」って淡々と伝えるんじゃないかな。
三浦獠太:僕はもうパニックですね(笑)。でも最終的には地道にコツコツ返済していくしかないなって考えるタイプだと思います。高島みたいに一発逆転を狙おうとすると絶対に失敗するじゃないですか。そんなリスクを負うぐらいなら、堅実に返していったほうがいい。なので、そうしてもらえるよう、交渉に全振りします(笑)。
考察無用! スピード感を楽しんで
今回、それぞれの役を演じたことで新たに得られたものなどはありましたか。
三浦獠太:役そのものというよりも、主演が果たす役目とはなんなのかをすごく考えさせられました。これまで様々な作品の現場に参加させていただいてきましたけど、主演を務められる方が中心となって作り上げた空気感のなかにいつもお邪魔させていただいていたんだなって改めて気づいたんですよ。なのに、僕は何もしていなくて……本来なら主演としてもっとみなさんとコミュニケーションを取りながら、現場を盛り上げていくべきだったのに、自分のことで精一杯で、そこを疎かにしてしまった反省がすごくあるんです。初めての主演でよくわかってなかった部分も大きいですけど、もっとみんなが楽しく働ける空気を自分が作れたらよかったなって。なので、もっともっと座長としてやってきていらっしゃる方たちから学んで、今後に活かしていかなきゃなと思っています。

浅川梨奈:これもあんまり詳しく言うとネタバレになっちゃいそうですけど、忍耐力かな。いろいろ大変な現場ではあったので、それに対する自分の忍耐力と、どう乗り切るかという対応力を改めて知ることができたのはよかったなと思います。もちろん反省もありつつでしたけど。
ご覧になる方にはどんなふうに受け止めてほしいと思っていらっしゃるのでしょう。
三浦獠太:どの作品もそうですけど、そういうのはあんまりないんですよ、観た人がどう思うかは自由なので。高島という人間は一見、ポンコツだし、僕自身、イライラすることもあるんですけど、僕は僕で高島なりの正義を感じて、それを肯定しながら演じていたつもりなので、観た人がそれを感じてくれたら嬉しいなとは思いますね。
浅川梨奈:ご覧いただけたら謎が解けるかとは思いますが、私はもう最初から存在が違和感の象徴なので、その違和感を感じ取ってもらえたら嬉しいです。立ち位置自体がすごく不思議ですし、本当に存在しているだけで違和感を感じ取れると思うので。
三浦獠太:でも、とにかくエンタメとして作品全体を楽しんでほしいです。ホント何も考えず、頭をからっぽにして、ひたすらハラハラドキドキしてほしいです。
浅川梨奈:私もこの映画はものすごくコメディだと思っているんですよ。一見、コメディには描いていないコメディというか。だから三浦さんもおっしゃったようにエンターテインメントとして観るのが正解なんじゃないかなって。感動したり深く考察するような作品としてではなく、スピード感を楽しんでもらえたら。
ありがとうございます。最後に、当サイト名である“Lotus(=蓮の花)”にちなんで、この作品を花や植物にたとえていただきたいんです。

浅川梨奈:え、ムズくない?(笑)
三浦獠太:めっちゃムズいよ! (編集部が持参した花言葉辞典をめくりながら)……あ、浅川さんはこれ、いいんじゃないですか? スハマソウっていう花。花言葉が“信頼・忍耐”だって。
浅川梨奈:あはははは!
三浦獠太:ツワブキもいいな。花言葉は“困難に負けない”。でも、それだとこの映画じゃなくて高島のことになっちゃうか。
主演ですし、いいと思いますよ。
三浦獠太:じゃあツワブキでお願いします!
TEXT 本間夕子
PHOTO Kei Sakuhara
【三浦獠太】
ヘアメイク:Emiy(エミー)
スタイリスト:作山直紀
【浅川梨奈】
ヘアメイク:石川ユウキ(Three PEACE)
スタイリスト:髙橋美咲 (Sadalsuud)
<衣装>
ドレス ¥55,000 / THE silhouette (https://silhouettejp.ofÎcial.ec/)
シューズ ¥33,000 /銀座かねまつ (銀座かねまつ 6 丁目本店 ☎03-3573-0077)
リング (左手)¥3,300 /ヘンカ (ロードス ☎03-6416-1995)
リング(右手)¥14,300、 ブレスレット¥12,100/ともにスティールジェニック(ロードス ☎03-6416-1995)
イヤリング ¥3,300 /ラルク (ロードス ☎03-6416-1995)
読者プレゼント応募方法
\三浦獠太&浅川梨奈のサイン入りチェキを抽選でプレゼント!/
①Lotusの公式X(@lotus_magic_d)をフォロー
②Xで上のアカウントからポストされる対象ポストをリポスト
【応募締め切り】
締め切り:7月4日(金)23時59分
たくさんのご応募お待ちしております!
映画情報

『フェイクアウト!』
6月20日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
出演:三浦獠太、浅川梨奈、矢柴俊博、久保田秀敏、呉城久美、石田明(NON STYLE)、
永澤俊矢、菅田俊 、葉月ひとみ、田中優樹
監督:堀江慶
製作・企画:Colossus Pictures
制作プロダクション:CORNFLAKES
配給:ギグリーボックス
日本/カラー/ビスタサイズ/114分/5.1ch
©2025 Colossus Pictures LLC
▷公式サイト
公式X(旧Twitter):@fakeout_movie
三浦獠太 SNS
浅川梨奈 SNS
該当する記事がありません。
X (Twitter)
“クリエイターの言葉を伝える”エンタメ総合メディア「Lotus」始動!アーティストやクリエイターが放つ純粋な言葉の魔法をお届けします。
— Lotus編集部 (@lotus_magic_d) April 1, 2024
ここだけでしか見れない独占インタビューやオリジナル記事も続々登場!
▼https://t.co/PrO5UQxDrF #Lotus
該当する記事がありません。