
【インタビュー】内に秘めた芯の強さと、表現のよろこび―期待の俳優・一色香澄

子どもの頃から映画やドラマに心惹かれて、いつか“演じる側”に立つことを夢見ていた俳優の一色香澄。ヒップホップ、チア、ジャズなど多彩なダンス経験を通して磨いた表現力は、今や演技の世界でも豊かな引き出しとして生きている。2025年4月期のドラマ『あなたを奪ったその日から』では、ヒロイン中越紘海が復讐のために誘拐し、自分の子として育てた娘・中越美海を演じている。明るさの奥にある繊細な感情まで丁寧に表現し、現場でも即興的な工夫を加えながら存在感を発揮している。また11月14日公開の映画『平場の月』では、物語の根幹となるヒロインの中学時代を演じ、またひとつ新たな扉を開いた。確かな表現力の裏にある、“楽しむ心”と彼女のまっすぐな芯に迫る。
「何事も楽しむ」精神力が自分の強み
まず、一色さんが俳優を目指されたきっかけを教えていただけますか?

一色香澄:小さい頃からドラマや映画を見ることが大好きで、見た後に登場人物の気持ちだったり、人間模様を想像することに魅力を感じていたんです。漠然とですが、いつか演じる側に行けたらいいな、と思っていました。
特にどんなジャンルの作品に興味をもたれたのでしょう?
一色香澄:コメディが好きです。特に滝藤賢一さんが大好きで、『探偵が早すぎる』という作品を小学生の頃からずっと見ています。ミステリーというジャンルでありながらもコメディ要素もあって。小学生の私にとっても見やすかったんです。滝藤さんのお芝居はもちろん、広瀬アリスさんとの掛け合いも面白くて大好きです。
目標とされている俳優さんはいらっしゃいますか?
一色香澄:綾瀬はるかさんに憧れています。『奥様は、取り扱い注意』という作品でアクションをされていたんですけれど、それがかっこよくて。私もいつかアクションもできるような俳優さんになれたら、と思っています。
アクションをしたいということは、体を動かすのがお好きなんですか?
一色香澄:すごく好きです。幼稚園の頃からダンスを習っていました。最初にヒップホップダンスを始めて4、5年やって、チアダンスを3年、その後ジャズダンスに挑戦するなど、多様なジャンルをやってきたんです。
ヒップホップとチアダンスはまず見た目が違いますけど、一色さんは実際に踊っていて、どんなところが違うと感じましたか?
一色香澄:チアダンスはポンポンを持って誰かを応援したり、元気づけたりするために踊っていると思います。ヒップホップは自分を表現するダンスだと感じているんですけれど、特にかっこいい要素が多いから、イケてる感じを表現できて。そこが違うのかな、と思います。
ダンスの楽しさはどんなところにあると思いますか?
一色香澄:難しくて高度なものもあるんですけれど、振りが入って1曲通して踊った後の達成感は気持ちいいです。
振付を覚えるのは大変ですよね。
一色香澄:私はダンスやお芝居のセリフを覚えるのに、少し時間がかかってしまうタイプなんです。あまり効率的ではない覚え方をしているのかもしれません(笑)。
じっくり時間をかけてやりたい?
一色香澄:はい。ゆっくりマイペースなんです。
これまでやってきた中で、特に好きなダンスは何ですか?
一色香澄:今はジャズダンスが好きですね。お芝居に1番近いというか、物語を表現するという意味では1番ジャズダンスが近いので。楽しいです。

これまでお話してきて、一色さんは最初の印象とは違って、アクティブでいらっしゃるんですね。
一色香澄:第一印象は「落ち着いてそう」とか、「大人しい」とよく言われるんですけれど、全然そんなことはなくて。今も猫をかぶっています(笑)。実際はおしゃべりが大好きで、たくさんお話します。
友だちには、どういうタイプと言われますか?
一色香澄:第一印象と違って明るいと言われます。4月に宮崎から関東の学校に転校したのですが、前の学校の友だちからはほめ言葉なのか分からないですけれど、「良くも悪くも変わっている」と言われました(笑)。
ご自身の強みはどんなところにあると思いますか?
一色香澄:私は何事にも全力で楽しむタイプなので、少し苦手なことだったり、あまり好きではないなと思っても、「やっぱり楽しもう」という精神でやっています。たとえできなくても、楽しめたら納得できる部分もあるので。楽しむことは大事にしています。
役への向き合い方を深く学んだ
ドラマ『あなたを奪ったその日から』では、娘を奪われ復讐を果たそうとする主人公・中越紘海の娘、美海(実は恨んだ相手の子ども。紘海が誘拐し、わが子として育てている)を演じていらっしゃいますが、オーディションはいかがでしたか?

一色香澄:とても緊張しました。美海の性格は明るくて元気な役だと聞いていたので、事前にたくさん準備してオーディションに行ったんですけれど、同じグループに6、7人の人たちがいて、少し比べてしまう部分があったんです。他の子は明るくて、私よりも面白い美海を演じていたので、監督やプロデューサーさんもすごく笑っていたんですね。
だからこのまま自分が準備してきたものを変えずにやっても、もしかしたらうまくいかないかもしれないと感じて。前の人がやっている時間に必死になって、「どうやったら監督を笑わせられるんだろう?」とか「他の人より面白い動きをするには、どうしたらいいだろう?」とかずっと考えていました。
最終的にはどんな美海にされたのでしょうか?
一色香澄:オーディションの台本が、劇中にもあったお小遣いを前借りするシーンだったんですけれど、台本には「手を合わせてお願いしている美海」といったことだけ書かれていたんです。
でも監督に「勢いというか、もっと必死さがあっていい」と言われたので、滑り込んで土下座をしたり、少し言いにくそうに咳払いをしながら話したり、ちょっとした動きの工夫を入れて。美海の天真爛漫な個性を見せることができたら、と考えました。
そういったさまざまな発想が出るのは、長年ダンスで表現を培ってきたことにつながっているんでしょうね。
一色香澄:そうかもしれません。小さい頃からダンスも含めてたくさんの習い事をやらせてもらってさまざまな経験をしたからこそ、お芝居やレッスンの時も即興で多様なタイプの役を練習できたり、オーディションでもいろいろな挑戦できるのかな、と思います。
役が決まった時はどんな心境でしたか?
一色香澄:とにかく最初はうれしかったです。「合格しました」という言葉とともにキャストの表や相関図をいただいたのですが、開いたら北川景子さんが主演だということを知って。「ええ!」と驚いてしまいました。他にもたくさんすごい方々が出演されるので、果たして自分はついていけるかな、という不安とプレッシャーが出てきたのを覚えています。
美海は明るいけれども、その裏で心の悩みを抱えている役だと思いますが、一色さんはどういう子だと解釈して演じていらっしゃいますか?
一色香澄:美海は明るくて元気で天真爛漫な女の子で、鉄道がとても好きなんですけれど、ストーリーの途中で初恋もするんですね。そこで普通の人だったらしないような気持ちの伝え方をしていて。ちょっと他の人と違うな、というところもあるけれど、そこが不器用で美海の可愛らしさにもなっているから、美海を演じる上で大切にしたいな、と思っています。
ご自身も友だちから「ちょっと変わっている」と言われたとおっしゃっていましたが、共通するところを感じますか?
一色香澄:はい。好きなことに一直線で、飽きるまでずっと同じことをやるんですよ。たとえば音楽も気になる曲を見つけたら、同じ曲をずっと飽きるまで繰り返し聞いているし。そういうところは美海と似ているのかな、と思ったりします。
なるほど。とても近い感覚なんですね。美海のお母さん役を演じる北川景子さんとはいろいろお話されたと思いますが、印象に残ったことを教えてください。
一色香澄:お芝居の相談をたくさんさせていただきました。涙を流すシーンの撮影の流れの中で、いつ、どのタイミングで涙を流すのかを質問しました。「メイクが崩れてしまうので本当は段取りの時は涙を流さない方が良いかもしれないけど、こういう感情が高ぶるシーンではつい涙があふれちゃうよね」と、北川さんが共感しながらも教えてくださって。本当に優しい方です。
役では血がつながっていないお母さんなんですけれど、本当の娘のように可愛がって、愛情を持って育ててくれたんです。後半になるにつれ、美海もその事実を知ってしまう時もあるんですけれど、今まで一緒に過ごしてきたお母さんとの時間が大好きだから、感謝の気持ちもあるし。お母さんが大好き、という思いは大切にしました。
そのほか、現場でのエピソードを教えていただけますか?
一色香澄:サスペンスで復讐をテーマに描いているドラマなんですけれど、現場は明るくて楽しいです。監督さんは美海のことを「ちゃんみみ」とあだ名で呼んでいて。それが私の中でうれしかったです(笑)。
ニックネームをつけてもらえると、距離が縮まりますよね。そして『あなたを奪ったその日から』で美海を演じたことは、一色さんにとってどんな経験でしたか?
一色香澄:私はこのドラマの撮影で他の共演者の方々の役への向き合い方を学ばせていただいたと思います。私ももちろんたくさん準備をしてきたんですけれど、それよりももっと上のレベルまで行けることを皆さんのお芝居から感じて。
たとえば北川さんとのシーンが多いので、北川さんから学ぶことが多いんですけれど、役のことを深く考えて理解されているからこそ、「この人だったらこういう言い方すると思います」とか「美海ちゃんからこの言葉を受け取ったら、多分こうなっちゃうんじゃないかな」とおっしゃっていて、現場でお芝居をされているのを間近で見させていただいたので。
脚本に書かれていることは、時と場合によっては100パーセントの言葉でない時もあるんですよね。だからそういう時は、脚本をもとにその役にとって一番良い表現ができるようになれたらいいな、思います。これからもっともっと自分のレベルを上げて、役の読解を頑張りたいです。
主役にも脇役にもなれる花が好き
最近ハマっていることは何ですか?

一色香澄:メイクです。自分の中で勝手にメイク研究会と呼んでいて、お風呂前に自分でメイクをするんです。失敗してもすぐ落とせるからタイミングが良くて(笑)。メイクの中では、チークが好きです。
今日のメイクも素敵ですね。私たちの媒体は『Lotus』といって蓮の花という意味があるんですけれど、好きな花はありますか?
一番好きな花はカスミソウです。主役にも脇役にもなれるので。あと、「余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話」という小説に出てきたガーベラも好きです。
アクションなど挑戦したいことばかり
11月には映画『平場の月』に出演されて、井川遥さん演じる須藤葉子の中学時代を演じられます。原作は中学生時代の初恋相手と大人になって再会し、心を通わせるストーリーで『これまでにない大人の恋愛小説』として話題を呼んだ小説ですが、一色さんはどんな作品だと受け止めましたか?

一色香澄:すごく素敵な作品で、原作も脚本も何度も読みたくなると思いました。読む人、見る人によって捉え方や感じ方も違うし。1回見ても、また少し時間空けた時に、自分でも考え方などが変わる作品になっているんじゃないかな、と思います。
葉子を演じる上では、どんなことを心がけましたか?
一色香澄:私が演じる須藤陽子は、よく「太い」と言われる子なんですけど、体格的にではなくて性格的に「何か太いよね」と言われるんです。その「太い」について、撮影期間中はよく考えていた気がしています。そのうえで「太い」というのは、自分の意思がすごくあって周りに流されない、肝っ玉母さんのような感覚なのかな、と思いました。でもそれを演技に落とし込むのは、難しかったですけれど、とてもやりがいがありました。
5年後の目標を教えていただけますか。
一色香澄:5年後は19歳。さきほどもお話させていただいたように、今回のドラマ撮影を通して役作りや役への向き合い方を学ばせていただいたので、これからはそれを生かして、大きな夢にはなるんですけど、朝ドラに出演できるような俳優になることが目標です。あとはアクションやコメディなど、挑戦してみたいことがたくさんあります。

PHOTO Kei Sakuhara
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