インタビュー

【インタビュー】Z世代から支持されるシンガーソングライター・浜野はるき。“CuLってる”彼女の頭の中は……いつでも忙しい!!

【インタビュー】Z世代から支持されるシンガーソングライター・浜野はるき。“CuLってる”彼女の頭の中は……いつでも忙しい!!

シンガーソングライター・浜野はるきが、新曲『CuL』をリリースした。福岡県で生まれた彼女が、音楽の道を目指した最初のきっかけは、母親に連れられて訪れた安室奈美恵のライブだ。高校卒業後音楽活動をスタート。2021年に、全国区での活動を目指し、親の大反対を押し切り、なんとヒッチハイクで上京したそうだ。その後は、都内を中心に年間200本以上の路上ライブを行うと同時に、SNSで積極的に発信を続け『中州ロンリーナイト』(2021年)や『ギジコイ』(2023年)がバズを起こし認知度を一気にあげた。特に『ギジコイ』はリリース前に配信がスタートしたshort verが、発売日前に1000万再生を突破した他、ユーザーのシェアをひとつの指標にしている『Spotify バイラルチャート』で最高位38位を記録。自身のレペゼンともいえる言葉が散りばめられた『Princess GaL』(2024年)は、女性インフルエンサーやK-POPアーティストがTikTokでダンス動画を投稿するなど、Z世代を中心に人気を博している。2023年はGIRL、2024年はGaL……と、コンセプトを持って自分のビジョンを実現してきた浜野はるきとは、どういう人物なのか?新曲『CuL』からその人となりを……紐解ける……かな?

ひとことで言ったら波乱万丈の人生

人生が濃いですね。今24歳ですが、これまでの自分の人生をひとことで言ったら?

浜野はるき(以下、浜野):波乱万丈ですかね(笑)。自分で選んで来たことではあるんですけど、その選択がいつも苦しい方ではあったかなと思います。

音楽を始めるきっかけに繋がったのが、安室奈美恵さんのライブだったそうですが、彼女のどこに惹かれたんですか?

浜野:何万人ってお客さんを前にして完璧なパフォーマンスして。可愛いし、スタイルもいいし。女の子の憧れの象徴で“こうなりたい”って思ってしまった。歌もパフォーマンスも服装も何から全部。

浜野さんの中での“GaL(ギャル)”の定義を教えてください。

浜野:GaLっていつも流行りを作っていると思っていて。私、高校に入るくらいまでは全然おしゃれに興味なかったんですよ。オシャレに目覚めたのは17歳の時。GaLって人生楽しそうって思ったところから、自分もGaLデビューしました。

浜野さんの高校時代には、まだ“Y2K”って言葉はなかったですよね?

浜野:なかったですけど、平成GaLのファッションはキてましたね。少女時代(K-POPアーティスト)とかが流行った後だったし。少女時代って私の中ではリバイバルって感覚があったんですよ。安室ちゃんみたいなファッションだと思ったんです。だから私の中では、Y2Kでの平成リバイバルって、2回目だと思っているんです。形は違えど、安室ちゃんのようなファッションって、ずっと引き継がれているなと思っていて。冬になるとみんな長いブーツ履くじゃないですか。あれは、安室奈美恵さんが最初だと思うし。

確かに。

浜野:もう“安室奈美恵さんってジャンル”なんですよ。音楽もファッションもメイクも、すべてがジャンル。

浜野さんがGaLデビューするにあたり、最初に買ったアイテムは?

浜野:もふもふの尻尾みたいなストラップ(一同笑)。通学のバックにつけてました。周りはとっくに持ち始めていて、でも流行っている中で同じものをつけるのは、自分の美学と違ってて(笑)。流行りが終わったくらいの頃にちょっと違うのを買いました。

お、終わった頃なんだ?(一同爆笑)

浜野:そうなんですよ、そしたらまた流行り始めて。ちょっと前とは違う感じの、もふもふ尻尾が。

もふもふ尻尾の第二次ブームを作った、と。

浜野:はははは(笑)。勝手にできあがったって感じですね。

ではGaLの内面については、どういう定義があります?

浜野:私の中での定義ですよね。

そうです。そこを伺いたいんですよ。

浜野:マインドが強い。誰よりも考えたり悩んでいても、それを出さない。いつでも自分に自信があるんだけど、そこにはちゃんと理由があって。おしゃれもメイクも誰よりも気を使って、研究してるから、自分に自信があるんだろうなって。だから、GaLが人生で1番自分を楽しんでる。

浜野さん自身は、マインドは強い方だと思います?

浜野:あー……弱い時もありますね。それを歌に投げている感じです。気分が落ち込む時は曲で自分に言い聞かせている。今回の『CuL』とかも、自分に言い聞かせるために作った曲なんです。

自己肯定に近い感覚でしょうか?

浜野:自己肯定っていうよりは、自分で自分のマインド上げているっていう感じ。ただ、曲を書いている私はそれができるけど、じゃあ、そうじゃない女の子はどこでマインドを上げるんだろうって思って。そのマインドを上げる場所がない子たちに、こういう曲を届けたいんです。その子の場所になるような曲を書く。自分のことを可愛く思えない子とか、そういう子の気持ちを置く場所。客観的に可愛いか可愛くないかは、どうでもよくて。自分のことを世界一可愛いと思うことが大事なんです。そういう意味では、『CuL』はあえて『Princess GaL』と似せた部分もあるんです。<比較とかまじだるっ!>って歌詞とか、誰と比較しなくても、自分は自分でしょっていう意味で、自分自身に言い聞かせているんですけど、同じような気持ちの、本当はギャルマインドでいきたいんだけど、実際はあまり自分に自信がない子に響けばいいなと思って書きました。

諦めない!常に怒っているのかな?(笑)

曲を作る源になる感情って、喜怒哀楽の中だとどれが1番多いですか?

浜野:怒です。怒り(爆笑)。

怒り。マインドとしてはパンクやヒップホップですね。過去の曲も今回の曲も怒っている部分、確かに多いかも。

浜野:常に怒っていますね(一同爆笑)。

はははははは(笑)。疲れませんか? 怒るのってエネルギーいるし、疲れるから諦めることとかありません?

浜野:諦めない!

すごいな。

浜野:絶対に諦めないし、諦めたくない。だから常に怒っているのかな?(一同爆笑)

でも曲は怒りから出来ることが多い。

『CuL』はどんな怒りからできた曲なんですか?

浜野:アンチですね。結構心無いコメントが来たりするんですよ。そういうアンチに対して「君らに何がわかるの、別にわかる人だけでいいよ」って開き直った曲です。

開き直るのって、とても勇気がいりますよね。

浜野:いりますね。けど、ここに至るまでやっぱり24年かかったんで。去年くらいまでは、アンチのコメントで、いちいち落ち込んでいたし、悩んでいたけど、最近はなんか……「あ、はーい、私のこと気になるんですね」って思えるくらいはメンタルが強くなった。『Princess GaL』あたりから、やっと強いマインドを持てるようになってきたんですね。これまでの私だったら、悩んでいる曲になっていたと思うですけど、変わって来たんですよね。浜野はるきが変わって来たタイミングの曲が『Princess GaL』だったんです。

『CuL』はミュージックビデオも自分で制作されたとか。

浜野:そうですね。元々、ライブのバックで流れる映像を作ることになって、自分でやってみようって思ったんですよ。それで作ってみたのが意外と良かったから出そう、と。

浜野はるき – CuL (Official Music Video)

フォントとかも、今の映像の流行りじゃなくて、あくまで曲のコンセプトに合わせていますもんね。

浜野:そうなんです。昔のプリクラのような文字にしたかったんです。ジャケットの『CuL』の文字も、平成のプリクラで流行っていた文字を起用していたり。ジャケットで使っているガラケーも、私の10代の頃にあったようなガラケーにして。最近、こういうガラケーをアクセサリーとして持っている子が高校生とかで結構多くて。それを見ていて、可愛いなと思って使いました。ガラケーとか知らない、小学生や中学生とかから「ガラケーって本当にあったんですね」みたいなコメントがきましたね。

はるき方程式/Cute+GaL=「CuL」

『CuL』は、どこから制作がスタートしました?

浜野:最初誰も使っていない、けど使いたくなる造語を作ろうと思って。ジャケットに書かれているんですけど、CuteとGaLをくっつけて『CuL』って言葉が出てきた。“きゅるってる”って、きゅるっとして可愛いねって感じで使われると思うんですけど、歌詞の中で、その“きゅるってるの”を“狂ってる”と被せたんですよね。

『CuL』が先なんですね。狂ってるが先だと思っていました。

浜野:そうなんです。日本の狂っているって、いい意味で使われる印象がないと思うんですけど、韓国では“狂ってるぐらいに可愛い”とかっていう風に使われていて。K-POPアーティストにファンが、めっちゃ可愛い、驚くくらいにカッコいいとかいう意味で、 “ミチョッタ”とか“ミチダ”って言う。それもあって“狂ってるくらい可愛いな、私”って意味で、狂ってるって言葉を選んだんです。

ということは、曲作りは、まず言葉、歌詞から作り始めるってことですか?

浜野:基本、全部、歌詞先です。

制作行程をぜひ知りたいです!

浜野:まず、言葉を箇条書きにするんですよ。『CuL』だったら<私狂ってる><ピューロランドに住みたい><クロミになりたいのよ!>とか。それを歌詞にまとめて、プロデューサーのCHIHIROさんになげて、LINEでやりとりしていく。すべてLINEのやりとりで曲を作っていくんです。例えばCHIHIROさんから「ピューロランドに住みたいとか、狂ってない?いいよね」ってくると「じゃあ、そこから狂ってるって入れよう」みたいな。メロディーは、私が書いている部分とCHIHIROさんが書いている部分とあって。CHIHIROさんと「こういうメロディーがいい」「こういう曲っぽくしたい」っていうのがあって、それを元に一緒にメロディー作っていく。だいたいまとまったら、私がデモで歌ったものを送って「このメロディーは採用。ここはもうちょっとパンチが欲しいから、私が作ってみるね」みたいに仕上げていく。なんか、パズルみたいな感じ。私がピースを投げる、並べ替えて完成させるのがCHIHIROさんみたいな。

LINEのやりとりで曲作りってことは、移動中もやったり?

浜野:やりますね。ずっとしています。私が曲作りで、例えばパソコンに向かうのは歌入れくらい。10分くらいです。パソコンに向かうっていう動作が嫌いなんですよ。じっとしてられないし、パソコンの前で悩むとかできない。メロディーが浮かんだ時もスマホのボイスレコーダーで録ったりする。思い付いたら、すぐ歌わないとって感じで。だからなんか……常に脳味噌が忙しい(笑)。誰かと話していても、ある言葉で“今のフレーズめっちゃいいじゃん”ってなって、すぐメモったり。常にいろんなこと考えているんですよね。だから、放置されている方がいい。そしたらずっと曲を作っているから。「やれ」って言われたらやりたくなくなる。こんな人、すごく面倒くさいですよね(一同笑)。

アイデアが止まらない。だから脳も止まらない。

どんどん曲ができるってことですね。

浜野:曲を作るペースは速いと思います。自分でいうのも何なんですけど(笑)。ただ、1曲を集中して書くみたいなパターンは1回もやったことないんですよね。常にピースが携帯の中にあるので 「こんな曲作ろう」ってなった時に、バーッってみて「あ、このフレーズ合いそう」ってピックアップしていって、どんどん曲にしていくっていう。私、基本、インドアでSNSとかずっと見ているので、その中から面白いなって思うものを随時ストックしてますね。

ピースのストックがたくさんある、と。

浜野:そうですね。それを見返したりするのも無意識ですけど、結構、毎日していて。放っておかれたら、ずっとスマホ見ていますね。脳がね、ずっと動いているんですよね。

脳を休めたいとは思わないんですか?

浜野:したいんですけど、脳が言うことをきいてくれないから(一同大爆笑)。寝てる間もずっと物語を考えていて、起きたら夢で見たこの物語、曲にしようとか、そういうこともありますね。

無限に曲が書けますね。

浜野:はい、書けますね。アイデアが止まらないから。

すごいなぁ。言い切れるのがすごい。

浜野:最近になってからですけどね。ちゃんと自分のやり方、自分のペースがわかってきたのって。来年は25歳なので……もう少しね、一段上の女性らしさというか。強いだけじゃなくて、儚さとか美しさも放てる女性になりたいなと思っています。来年、自分の中で描いているイメージがあるので、ファンの皆にも楽しみにしていて欲しいです!

これからのビジョン、具体的に見えています!

次のビジョンが自分の中で具体的に見えている、と。

浜野:はい。すごく具体的に。コンセプトが決まっているんですよ。楽曲もツアーも、まだ発表にはなっていないんですけど、どんな風になるか自分の中ではもう決まっていますね。こういうコンセプト考えている時が1番楽しい。服を選んでいるような感覚に近くて。例えばジャケット写真って、曲にとって衣装だと思っているんです。今回の曲はどんなジャケット着せようって感じで、ジャケットのコンセプトを考えるのが、すごく楽しいですね。

毎年ビジョンが変わっていっているんですか?

浜野:去年までGIRLで、今年はGaLで、これからはWOMANになっていかないといけないと思ってて。最近、よく言葉にするのが“all for woman”。これがこれからのテーマなのかな、と。自分の価値観の中では、例えば、20代後半になって“GaL”って言っているのは、ちょっと違うと思っているんですね。やっぱり30代前くらいになったら、自分の機嫌を自分でとれるような女性になりたい。マインドは強いままだけど、私可愛い、可愛いって言うだけじゃダメだなと思っていて。ちゃんとWOMANになっていきたいと思っています。

ここまで、浜野さんのお話を伺ってきて、是非、今、聞いてみたい質問があるのですがよろしいですか?

浜野:はい!何でも!

人間の感情の中で、1番美しいと感じる感情は?

浜野:嫉妬心だと思いますね。例えば恋愛で嫉妬したり、恋愛じゃなくても才能に嫉妬したり。嫉妬するって、相手に興味があるってことだから、すごく人間らしい感情だと思うし、美しいとも思うんです。前までは嫉妬は醜い感情だと思っていました。でも、今は美しいと思えるようになりましたね。嫉妬して、しくじってちゃんと悔める方が、成長できるというか。嫉妬心がなかったら成長につながらない。嫉妬心から自分をもっと上げていける。だから美しい感情だと思うんですよね。

初の全国7大都市ツアーも決定!

2025年には初の全国7大都市ツアーも決まっていますね。

浜野:全国7大都市ツアーをやるって聞いた時は、「正直大丈夫?地方でもそんなにファンの人いる?」って思ったんです。でも、クラブでのライブを月に2~3回やるようになって、いろんな土地に行ってみて、結構観に来てくれる方がいるので、それでちょっと安心してます。ツアーに行くことも楽しみですけど、その前に、このタイミングで解禁して、ここでSNSの告知作って、ここでチケット先行して……とか、それを考えているのがめちゃくちゃ楽しい。東京、大阪、福岡以外は、ライブハウスでやるのは初めてで、お客さんとの距離が近いし楽しみですね。いつも東京までライブに足を運んでくれる人がたくさんいるから、日頃の感謝をこめて、今度は私が会いに行くよっていう。そういうツアーになると思います。

Lotusでインタビューをする際、皆さんに伺っている質問です。『CuL』を花に例えると?

浜野:チューリップかな。チューリップが花の中で1番色が華やかって印象があるんですよ。『CuL』は鮮やかな色が前面に出ている曲で、1人でも輝くことができるって歌っている。チューリップも一輪で輝ける花だと思うから、チューリップです。

TEXT 伊藤亜希

PHOTO メトロ。

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「CuL」
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