【インタビュー】AKIHIDEが11枚目のアルバム「Fortune」をリリース。相反し絡み合う運命を描いた作品はどのように生まれたのか。
BREAKERZとしても活躍するギタリスト・AKIHIDEが11枚目となるアルバム『Fortune』を完成させた。前作『Three Stars』から続く3部作の第2編となる本作は、相反し絡み合う運命を描いた彼の渾身作。
運命の輪で結ばれた3つの星の人々が その運命に翻弄されながらも、それぞれの定めへと向かう未来への道程、あなたはこの作品を聴き終えたあと、何を思い、何を感じるのか……。
AKIHIDEの紡ぎ出す言の葉に寄り添い、今作の魅力、制作過程、そして彼が『Fortune』に込めた強い思いに迫っていこうと思う。
20年以上前に自身で書いた、原案
本作『Fortune』は10枚目のアルバム『Three Stars』の続編にあたる作品ですが、AKIHIDEさんはもともと物語を軸に音楽制作をされることが多いのでしょうか。
AKIHIDE:最初期はそんなこともなかったんですけど、気付いたらそっちの方が作りやすいというか。3枚目の『RAIN STORY』(2014年)のアルバムでストーリーというか、雨の雫たちが絵本のように展開していくものにBGMを付けるというニュアンスで作品を作ったことが始まりでした。元々、ストーリーや物語を考えるのが好きだったので、自然の流れでやるようになったんだと思います。
物語を考えることは幼少期からお好きだったんですか?
AKIHIDE:幼少期から空想するのが好きでした。一人っ子で鍵っ子というのもあって、家でひとりの時間も多かったんですよね。だから、想像で楽しむのが好きだったし、割とひとりでいるのも好きなタイプでした。友達は友達でいたんですけど、ひとりの時間がすごく好きだったんです。その頃から、TVやアニメ、例えば戦隊モノの話を勝手に自分の中で話を膨らませたりとか、そういうのが好きな子供ではありましたね。
めちゃくちゃ分かります。僕も一人っ子で空想で遊んでいるタイプでした。
AKIHIDE:本当ですか(笑)。やっぱりそうなりますよね! それが寂しいわけでもなくて、自然になりますよね?
それが、日常でした。
AKIHIDE:そうなんですよね! すごく分かります!
『Three Stars』のコンセプトストーリーは20年前から構想があったとのことですが、物語を描いたときのことを覚えていますか?
AKIHIDE:20年以上前にFAIRY FOREというバンドをやっていたんですけど、そのバンドから抜けたときに、ファンの方と繋がれる場所を作りたいなと思ってホームページを作ったんです。当時、Flashというアプリケーションを独学で学んでサイトを構築して、そこに物語やアニメーションを書いて、公開していたんですよ。その軸に今回の3部作のストーリーを書いていました。
そのサイトでは、タロットカードでお客さんに楽しんでもらおうとプログラムを組んでいてそのタロットカードのキャラクターたちが今回の物語の根本のキャラクターです。実際に打ち込んで書いていたものですから、ネット上にメモ書きをしていたようなもので、だからこそずっと頭の中に記憶として残っていた物語なんです。きっと想像していただけならもっと形が変わっていたと思うけど、作品としてお客さんに提供していたものですから。
時が経っても鮮明に残っていたものなんですね。
AKIHIDE:ただ、20年以上も前のものだったので、話の強度や今の時代に合わないあたりは補強して直していきました。
物語の着想はどのようなところから?
AKIHIDE:僕はスター・ウォーズが好きなんですけど、スター・ウォーズも3部作ですよね。『エピソード4/新たなる希望』、『エピソード5/帝国の逆襲』、『エピソード6/ジェダイの帰還』と展開していく。初めて観るスター・ウォーズが第4話なんだと思うととても深いし、魅力を感じました。宇宙を舞台に戦うファンタジーが原体験として強く残っていたのかもしれません。アニメや漫画、ジブリ作品も大好きなので『風の谷のナウシカ』とか、そういうものを通して自分の中に取り込まれていったんだと思います。
映画でいうと『パルプ・フィクション』も好きですね。いわゆる伏線回収ものがすごく好きなんです。物語が入り組んで、のちのちキャラクターが絡んでくる、あの感じが。そこが根本にあるのかもしれないですね。自分で物語を作る上でもキャラクターたちにも実は裏があるんだと思ったら自分も楽しかったし、お客さんにも楽しんでもらえるかなと思ったんですよね。
なるほど。
AKIHIDE:タロットカードの存在も自分の中では良かったんですよ。タロットカードの絵にキャラクターを当てはめていったり、その絵のためにキャラクターを作ったり、ストーリーを上乗せしていく。縛りがあったからこそ、良かった。自由に何でもということになっていたらきっと物語は出来ていなかった。パズルのように組み合わせていく作業が余計に楽しかったんです。
熱く、冷静に作り上げた渾身の1枚
今作『Fortune』は炎の星と氷の星が戦争を開戦した後の物語が描かれていますが、楽曲はどのように構築されていったんですか?
AKIHIDE:ストーリーとしては、ここからここまでと決まっていたので、その中でどうやっていこうかと今年の頭から曲を作り始めました。最近は、サンプル音源のサブスクリプションサービスがあるので、そういったものを活用して着想を得て制作を進めていったので、ギターで作るということはあまりなかったです。
AIも駆使したりして発展させながら作っていくんですけど、基本的にはそこで4〜5曲作って、ストーリーの場面の要所要所にはめていきました。そこからもっとこういうものが欲しいとか音楽的に考えたときにはもっと切ない曲がいいなとか、ストーリーを背景にした曲だけじゃなく音楽的な部分でアルバムとして成り立つようにバランスを見ながら作っていく形でしたね。コンセプトストーリーがなくても音楽的に楽しめるものじゃないと意味がないので、そこは自由にフレキシブルにやりながら、1月から1ヶ月間くらいで原型はほぼほぼ完成させました。
前作はロックなサウンドが際立った1枚だったと思いますが、今作はEDMやジャズ、アコースティックサウンドなど多様な音も内包されています。これは、現在のAKIHIDEさんのモードだったんですか?
AKIHIDE:僕自身、いろいろなジャンルを聴く方なので、サウンドに関してはフィーリングで感じたものを形にしている感じです。ただ、1曲目の『Into the Story』だけは、11枚目となるといつもパターンが同じになってしまうので、少し変えたいなと思って、ジャズみたいにしっとり始まったら面白いかなと考えて作りましたね。その他の曲は、フィーリングを大事にしました。そのときに自分の中で流行っているものや気持ちのいいものですね。
歌詞はもちろんストーリーに寄り添いつつの制作になるかと思いますが、いかがでしょうか。
AKIHIDE:完全にストーリーの内容と合致している歌詞ではなく、ストーリーのそれぞれのチャプターが持っているテーマみたいなのを引用して歌詞を書いていく感じでした。例えば、このチャプターは“別れ”がテーマだなと思えば、そのテーマに沿って書いていく。ただ、ストーリーと確実に似通わせないといけない部分も必要ですから、その辺りはバランスを見て。それから書いた歌詞をスタッフさんに見てもらって、ディレクションしてもらって、より伝わりやすくするためにはどうすればいいか、話し合いをしながら、研磨していきました。
特に難産だったものや筆が乗ったものはありますか?
AKIHIDE:最近、ディレクターさんがうるさいんですよ(笑)。一発OKというものがないから全て難産だったかもしれません。でも、その厳しさがありがたい。その結果、曲を磨くことが出来ますからね。その中でも特に大変だなと感じたのは、『星の子守唄 -Goodnight Song-』。この曲は構成もガラッと変わりました。Bメロを無くしたり、コード進行もガラッと変わったし、歌詞に関してもアドバイスを頂いて変更したり……。「ちょっと、キツイですね」と言いながらの作業ではありましたけど、完成したときの充実感はすごかった。最初の頃に出来た曲ですけど、最初にそういう状況になったものだから、お互いに気合が入ったというか。こだわりが強くなっていきますよね。特に、歌詞に関してはこの曲をきっかけに詰めていくようにもなったので。収録されるどの曲も簡単なものはなかった。それがいいんですよ(笑)。
いつも以上にディスカッションを重ねてより研磨して作品を作り上げた。
AKIHIDE:僕は客観的な意見が欲しいタイプだから、いつも意見は聞くんですけど、今回はデモの段階から割と変化しているものが多いです。僕もディレクターの熱に今まで以上に応えたかったし、11枚目ということで同じことはやりたくないですし、お客さんにいい意味で変わったと刺激的なものにしたいという気持ちがありましたね。
ただ、そんな熱い思いがある中で意外と色んなことを整理して制作することが出来たのかなと思っていて。BREAKERZのアルバム『Bintage』(2024年)の制作と被っていたり、他にもいろいろと作るものがあったので、整理してやらないといけない状況ではあったんですけど、その中で今やるべきことや足りないものを考えながら制作することが出来た。これは、長いこと音楽で仕事させてもらってるおかげというか。今までにない、皆さんが驚く作品になったのではないかという自負はあります。
今まで以上に思いが詰まったリリック
これは個人的な感想なんですが、今作は聴き終えた後に小説を読み終えた時のような読後感を感じたんです。コンセプトストーリーがあるからこそ、曲の背景や込めた思いを詳しく知りたくなるというか。
AHIKIDE:なるほど。例えば、『Fortune』はまさしく、戦火の中に主人公が飛び込んでいくシーンを描いてはいるんですけど、実世界に目を移せばいまだに戦火が絶えることはないですよね。そういった実世界とリンクしている部分もあるんです。日本は今は平和ですけど、いつどうなるか分からない。そんな中で渦中にいる人たちは何を考えるんだろうと実際にそういった思いを込めながら書いていますね。残酷な世界ではあるんだけど、未来は探さないといけない。
近年、あらゆる場所で“残酷さ”を感じることが多いです。
AKIHIDE:全ては運次第と言ってしまえば、運次第ですから。でも、その運命をどう捉えるのか。それが今作のテーマなんです。今起きた出来事をよかった運命と捉えるのか、悲惨な運命と捉えるのか、決めるのは自分。そういったらところで『Fortune』という曲は始まりの曲なので、より強い意志で、運命を切り開いていこうというメッセージを込めました。
リード曲の『Undersea』はどのような背景や思いを込めましたか?
AKIHIDE:これは、実はBメロの〈Undersea…〉というメロディーにUnderseaというワードがハマっちゃったので、ストーリーというより、そこ始まりだったんですけど(笑)。このワードが浮かんだときに、海の底にいる気持ちやシチュエーションはどんな時だろうと掘り下げていくと、きっと誰かを亡くしたのかもしれないし、その中で全てを捨てて海の底で音もない真っ暗闇で眠った方が楽だと思う悲痛な主人公像が浮かんできました。
コンセプトストーリーのキャラクターともリンクする部分あるし、このテーマでいけると確信しました。実際の物語では海の底には行かないけれど、心境としては海の底にいるような主人公がいたので、そこをリンクさせて、膨らませていこうと。海の底で何もかも捨てたくなるような気持ち、もちろん僕自身もそういう気持ちの時がありますし、きっと生きていけばそういう感情から逃れられない時ってあると思うので、そういったときに少しでも上を向いてもがけるかというところを歌詞に込めましたね。
AKIHIDEさんの内から出た言葉ではあるんですけど、コンセプトストーリーとリンクする部分があるし、聴き進めていく中で、考察してしまうというか。「これはもしかして姫が?」「いや姫ではなく主人公が?」とすごく考えてしまいました。
AKIHIDE:そう言っていただけると、ミュージシャン冥利に尽きるというか(笑)。僕が作ったものですけど、聴いていただいた方の作品になることが本望。皆さんと共に、楽曲に込めた思いやテーマを共有して、宝物にしたいという思いが強くあるので。
楽曲の解釈はあくまでも聴き手に委ねている部分が大きい。
AKIHIDE:大きいですね。結局、僕もそういう作品が好きなんです。100%答えが分かっている作品より僕も考察を楽しみたい。その中で自分の答えを見つけて、他の人の意見も聞いて、「そういう考えがあるのか」とどんどん作品を深掘りしていくのが好きなタイプですから。そういうスタンスでいたいなとは思います。
普通に生活していたら答えのないことばかりですけど、自分なりの答えを人と共有することって人生だと思うんです。そう考えると、今作『Fortune』はそんな人生に寄り添うというか。この作品がハブとなってファンの方が繋がり合える、「あの曲、私はこう思う!」と考察し合える作品のような気がします。
AKIHIDE:そう考えると僕自身が常日頃から抱いているような感情が今まで以上に今作に込められているのかもしれません。自分自身がぶつかる闇や壁をどうやって乗り越えていこうと考える過程での思いだったり、その中で見つけたもの、見つけたいものを歌詞に今回は込められていると思います。
コロナ禍を機に変化した作曲方法
サウンド面に関しては、先ほどもおっしゃったように自分の好きなものをフィーリングで構築されたとのことですけど、デモを作った段階でストーリーを当てはめていったのか、もしくはストーリーや雰囲気ありきで作ったものなのか、どちらになるのでしょうか。
AKIHIDE:アレンジから先に拾い上げる形なんですよ。例えば、『Undersea』なら先にシンセの音と太鼓の音のサンプルサウンドを利用して、AIの力も借りてそこからいろいろとマッチングしてくれるんですよね。コードやピアノの音色、リズムをマッチングさせたものをループさせながら、僕自身がギターを弾いたり、歌メロを入れたり、仮で鼻歌を入れたりして、ワンフレーズできたタイミングで広げていく。
だから、この曲だから、この歌詞だから、このテーマだからこういうアレンジにしようというよりは、トラックの叩きのようなものが先にあって、そこに対してメロディーや歌詞、構成をプラスしていく感じ。どちらかというとトラックメーカー的な作り方なんです。
その制作法に変わったタイミングはいつ頃ですか?
AKIHIDE:コロナ禍中に出した作品で『LOOP WORLD』(2020年)というアルバムがあって、ループペダルを使ってアコースティックギター1本と自分だけというスタイルで配信ライブやアルバムを作ったんです。そしてそのあとどういう作品を作ろうかと考えた時、コロナ禍は続いていて、レコーディングさえもしづらい状況だったんです。ミュージシャンを呼んでスタジオでやりましょうというのも憚られるような時代の中で困ったんですけど、サンプリングを取り入れたら面白いかなと思って、最初は遊び感覚でやり始めたのがキッカケです。
それがなんだか楽しくて、今までと全然違う作り方ができてとても刺激的だったんです。それで制作したのが『BLACK UNICORN』(2021年)というミニアルバム。そこから面白くなって継続して今の制作法を続けています。
やっぱりコロナ禍はいろんな部分で大きな分岐点になりますね。
AKIHIDE:きっと皆さんもそうだと思いますけど、本当に大きな出来事ですよね。世界中の人が同じタイミングで大変な時期を過ごす。そんなことってなかなかないと思うし、僕自身思うことはたくさんありました。
それが今作『Fortune』に繋がっていて。あの時代を不運と思うのか、もちろん大変なこともあったし、亡くなった方もいるので簡単には言えないけど、自分の人生としてどう活かすのか、そう考えた時に僕は、なんととかしないといけないと力が出てくるタイプなんです。乗り越えなきゃいけないと思ったからこそ、配信ライブにもチャレンジしたし、ループペダルもサンプリングも始めた。過去を振り返った時、あれは意味があったんだなと思いたい。もちろん思えない時もありますよ。でも、思いたい、共有したいという強い思いが今作にはあるんですよね。これは僕のリアルな思いなんです。
そういった思いを音楽に昇華することができるって本当に素敵なことだと思います。そんな強い思いを込めた今作のギミックとなるのは『Reverse』だと思っていて。タイトル通り、サウンドがリバースしていますよね?
AKIHIDE:そうなんですよ! これは物語の中でも重要なシーンがあって、ストーリーが逆回転する場面があるんですけど、だったらサウンドもリバースさせちゃおうと思いついて。前作『Three Stars』に『永遠の丘』というインスト曲があるんですけど、それは主人公の絵描きとお姫様が楽しい時を過ごした思い出の場所。そこを思い出しているシーンにしたいなと思い、『永遠の丘』を譜面ではなく独特なやり方で一度ひっくり返して弾いて、逆再生したら『永遠の丘』になるようにしたかった。
これは面白いことを思いついたなと思ったんですけど、既存のフレーズを逆にするので全然メロディアスじゃないんですよ(笑)。それをまず覚えるのが大変だったけど機械的に覚えて弾いて、音源を聴いていただくと分かるんですけど、途中でボタンを押して映画が始まるような形で逆回転するっていうトリックを入れ込みました。ここで物語が大きく変わりますよというコンセプトストーリーもありきですけど、隠すことでお客さんにも楽しんでもらえるかなと。
面白い仕掛けですよね。
AKIHIDE:我ながらグッドアイデアだなと思います。これは、ライブでもやろうと思っていて、なかなかあんまりないパターンだと思うので、楽しみなんですよ!
ちなみに曲順はどのように選ばれたんですか?
AKIHIDE:M1とM2、M9とM10は最初と終わりなので決めていて、あとはパズルのようにはめていきました。ちなみにM7の『きっと、ずっと』はタイトルが最初は違うものでディレクターと話す中で決まったものなんですけど、最初は「えー?」と思ったんですけど、よくよく考えるとこの「きっと、ずっと」という言葉を物語のキャラクターが言ったらめちゃくちゃいいんじゃないかなと思って。だから曲とストーリーを本当に行ったり来たりして制作していましたね。こういう歌詞だからストーリーに入れ込もうとか、どちらも自分が作っているが故にフレキシブルに。それが今作の醍醐味なんですけどね。
ストーリーが完全体でなかったが故に、いろんなことを取り込めてブラッシュアップすることができた。
AKIHIDE:取り込めるし、終わらないですよね(笑)。一応、全て書き終えましたけど、追加でエピソードを追加したいなと思っちゃうし、本当に果てしなくて現在4万字弱くらいになっています。かなり長い量になっていますけど、楽しい作業ですよね。2つのコンテンツがお互いに影響しあって作り上げることが出来たなと思います。
『星の子守唄 -Goodnight Song-』で多幸感を感じながらアルバムの幕が閉じるのが素敵でした。3作目も期待してしまう、まさにto be continuedというか。
AKIHIDE:スター・ウォーズのEP5の感じがやりたかっただけなんですけどね(笑)。希望に繋がる結果になってくる感じに仕上げたかった。『星の子守唄 -Goodnight Song-』は最後に一瞬ワルツみたいな曲が聴こえると思うんですけど、あれは、さっきお話した僕が作ったホームページのテーマソングなんです。MOON SIDE THEATERという動画を公開している映画館という設定なんですけど、物語の裏設定で最後はそのMOON SIDE THEATERに行くことを予兆させたかった。だから、最後にワルツのフレーズを入れました。3作目の方はすでに見えてきている部分があるので、楽しみです。
ぬかるんだ世界でも力強く咲く花のような作品に
ここで、恒例の質問をさせてください。媒体名である、Lotusは直訳すると花の蓮という意味になります。本作を花や植物に例えるならどんなイメージになりますか?
AKIHIDE:難しいですね(笑)。でも、蓮って泥の中で根を張って綺麗な花を咲かせますよね。『Fortune』も蓮のようにぬかるんだ世界でも力強く綺麗な花を咲かせるような作品になったらいいなと思います。こういう世界、こういう時代だからこそちゃんと強く咲きたい。この作品が何かのきっかけになればいいなと思います。
ありがとうございます。今作を提げたツアーも開催されます。今回のツアーは2部構成、どんなライブになりそうでしょうか。
AKIHIDE:今回のツアーでは2部構成で1st”⻘きFortune”と2nd”赤きFortune”と題してバンドスタイルとデュオスタイルで行います。テーマが相反する運命なので、セットリストを全く入れ替えてやろうかなと思っていて、その入れ替え方もあんまり見たことないパターン。1枚のアルバムで遊び尽くそうと思っています。1枚のアルバムで2つの世界観が楽しめるライブ。バンドメンバーはいつもお世話になっている方が多いし、皆さんとても上手いですから、アドリブやセッション的な要素も盛り込んだバンドスタイル。
そして、デュオスタイルではベースの砂山淳一くんと僕のループペダルというあまりやったことのないスタイルでやろうと思っています。2人だけど2人じゃないサウンド、Angya(※AKIHIDEがアコースティックギターひとつで全国を行脚しながら行うソロ公演)では観ることが出来ない世界観をお届けしようと思っています。
最後になりますが、今後3編に続いていくということを加味しつつどのような展開にしていきたいか、教えていただいてもいいですか?
AKIHIDE:僕のいいところは飽き性、そして悪いところも飽き性。同じことをするのがすごく好きじゃないので、次はまた全然違うものを作ってやろうと思っています。きっと1作目、2作目とは異なる形、皆さんを「そうきたの?!」と思わせる面白さを提供しようと思っていますので、今作は今作でもとことん楽しんでいただいて、次回作はいい意味での裏切りをしたいなとも考えているので、楽しみにしていただけたらなと思いますね。
TEXT 笹谷淳介